夜遅くに発熱した日をゼロ日として昨日で10日間が経過し、もう移すおそれはないはずなので、渋谷のPARCO劇場へ。間に合ってよかった。歌舞伎座のチケットを無駄にしてしまったからねぇ。もう咳もほとんど出ないんだけど、念のためトローチ持参。
12時15分の開場時刻に間に合うように着いたんだけど、実際の開場は12時半。前から8列目のほぼ中央という良席なので、双眼鏡ではなく、フライングタイガーで300円ぽっきりのおもちゃみたいな単眼鏡を持参。コンタクトレンズだけで老眼鏡がいらないように遠距離の視力を少し落とす調整をしているから、普通の人なら単眼鏡もいらない距離なんだろうけれど、あったほうが安心。
PARCO劇場開場50周年記念シリーズの最後を飾る「海をゆく者」は、コナー・マクファーソン作、小田島恒志さんの翻訳、栗山民也さんの演出による舞台で、ダブリン北部の海沿いの町にある古びた家のクリスマスの一夜を描く物語。
この家に住むリチャード(高橋克実)は大酒飲みで視力を失い、その世話をしに帰ってきた弟のシャーキー(平田満)も酒癖が悪く禁酒中。近所に住む兄弟の友人アイヴァン(浅野和之)に続き、ニッキー(大谷亮介)は酒場で出会ったという紳士、ロックハート(小日向文世)を連れてきて、目が見えないリチャードはアイヴァンと組み、酒を飲みながらポーカーを始める。
くたびれた中年男たちの集まりの中で、ひとりスーツ姿のロックハートだけが異質で、小日向さんの澄んだ高い声がその異質性を際立たせる。異質も異質、実はロックハートは悪魔で、シャーキーの魂を連れ去りに来たのだった。飄々としたアイヴァンが冒頭でメガネを失くしたと探し回っていたのが実は伏線で、アイヴァンのどんでん返しで悪魔はポーカーに負け、シャーキーの魂を諦めて立ち去るのだけれど、愚かな人間たちを愛し慈しむ「あの方(=神)」に自分だけが見捨てられていると嘆く場面が印象的だった。もう何百年もその嘆きを胸にクリスマスを過ごしている悪魔。その歳月に終りが来ることはない…。
再再演で、克実さんだけが初参加。他の4人は初演時からで、初演・再演時のリチャード役は吉田鋼太郎さんだったという。実年齢は弟役の平田さんが一番上で1953年生まれ。浅野さん、大谷さん、小日向さんは3人とも1954年生まれで、克実さんは1961年生まれと若いのに、年齢差を感じさせない。「相棒」の三浦刑事でおなじみの大谷さん、舞台を拝見するのは初めてで、新鮮だった。小日向さんは、オンシアター自由劇場の頃から何度も舞台を観ていて、当時は舞台のみでテレビにはほとんど出ていなかったのに、今では引っ張りだこだものねぇ。浅野さんも、最近は歌舞伎への出演も多鋳物の、大抵は悪の親玉だったり、派手なメイク、派手な衣装のキワモノ系だったりするので、こうしたストレートプレイでの舞台はやっぱり新鮮。
今年最後にとてもいい舞台を観ることができてよかった。
行きはエレベータで8階まで直行したのだけれど、帰りは外階段をぐるぐると周りながら降り、年末で大賑わいの渋谷の街には他に用事もないので駅に直行。半蔵門線で表参道で乗り換える際、駅地下のOMO(紀ノ国屋のショップ)でちょこっとお買い物。往復の電車の中で「高槻彰の推察」EX2 を読み終えた。明日が返却期限だから、ほぼギリギリ。
普段は千代田線で1つ前の駅で降りてバスで帰るところを最寄り駅まで乗り、駅前のコメダ珈琲に落ち着き、夕べ印刷した年賀状にひとことずつメッセージを手書きする。小腹が空いて、ポテトバスケット。熱々で美味しかった ♪
まだポテトを食べ終えていないのに「お下げしてもいいですか?」と研修中の札を付けたバイト君。「あ!すみません!失礼しました!本当にすみません!」とこちらが恐縮しちゃうぐらいに平謝り。
書き終えたらそのまま投函してくるつもりだったんだけど、仕事関係で何枚か確認したいことがでてきて、その数枚は保留。投函せずに帰ろうとレジに行ったら、さっきのバイト君がなにやら処理を間違えたようで、何度も頭を下げて謝りながら、先輩の助けを借りてようやく処理完了。思わず「頑張ってね」と声をかけたら、「ありがとうございますっ!」と大きな声で笑顔で言ってくれた。帰宅後、確認を済ませ、保留分のメッセージを手書きして、年賀状の準備はこれで完了。
久しぶりに電車での外出をしたせいか、ちょっと疲れたから、早く寝ちゃおう。