まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992015-04-22

今日は歌舞伎座の夜の部だから夕方からなんだけど、午後イチに家を出て、北千住駅構内のスタバで英訳の見直し。しっかり終わらせ、少し読書をする余裕もあって、頃合いを見計らって東銀座へ。

中村翫雀改め四代目中村鴈治郎襲名披露の四月大歌舞伎。私が歌舞伎を観るようになってから初めての襲名が現坂田藤十郎改め三代目鴈治郎の時で、平成2年のことだった。平成17年の坂田藤十郎襲名が私にとっては同じ人の二度目の襲名の初体験で、今回の四代目鴈治郎襲名は、同じ名前の二代にわたる襲名の初体験。

幸四郎の梶原平蔵による「石切梶原」に続き、「成駒屋歌舞伎賑」と題した幕の舞台は江戸の芝居小屋前。道頓堀の座元に扮した仁左衛門が新鴈治郎を連れてくると、菊五郎吉右衛門梅玉が座元その他関係者として出迎え、両花道にたくさんの男伊達・女伊達がずらりと並んで渡り台詞で祝辞を延べる。その間、仁左衛門は終始おだやかな笑みを絶やさず、菊五郎も晴れやかな表情なのに対し、吉右衛門梅玉は真顔で正面を向いたままで、特に吉右衛門は真顔というより暗い顔。心ここにあらずというふうに見えた。今日だけたまたまそうだったのかもしれないけれど、我當さんは左半身に麻痺があるらしくつらそうな状態でも精一杯お祝いの気持ちを表していたのに、吉右衛門には笑顔すらないのが残念だった。

場面が代わり、藤十郎扇雀・虎之介父子、翫雀・壱太郎父子の5人による裃姿での口上。華やかな幕に続くシンプルな趣向で、とてもいいと思った。

そのあとが襲名披露の「河庄」で、新鴈治郎の治兵衛に芝雀の小春。先代の治兵衛がいかにも上方らしい「つっころばし」だったのに対し、新鴈治郎の治兵衛は直線的かつリアルで、激高する感情がストレートに伝わってくる。先代の舞台とは印象が異なるものの、より普遍化され、共感を呼ぶ現代的な治兵衛だったように思う。身勝手な怒りを爆発させまくる治兵衛に対し、思いのすべてを胸に秘めて必死で耐えている小春のつらさもひしひしと伝わってきた。とってもいい小春。治兵衛の兄孫右衛門は梅玉。治兵衛の妻からの手紙を届ける丁稚を虎之介。小春にちょっかいを出す嫌われ者の茶屋の客を染五郎と壱太郎。この二人はちょっとさらりとしすぎていたかな。もっと癖のある人にいやらしく演じてほしい役。

夜の部の最後は染五郎・壱太郎・虎之介の「石橋」。壱太郎は、「石切」の梢に始まり、夜の部のすべての幕で大活躍。

帰宅後に英訳の修正を済ませ、送信。これでひとまず仕事の在庫がはけた♪