5〜6時間しっかり眠るつもりだったのに、4時間弱で目が覚めてしまい、その覚め方がまたスッキリさわやかだったので、元気な身体に気持ちが引きずられるようにして起床。さっさと仕事を済ませてしまえ、と無意識のうちに信号が出てるみたい。でもまぁ、まずはゆっくり珈琲ぐらい飲ませてよ。
夕方から踊りを観るには睡眠が足りていないので、仕事を片付けたら二度寝するつもりで、コンタクトレンズは入れずにメガネで作業。以前のハードレンズなら単にレンズを出し入れすればいいだけなんだけど、ほんの数時間のためにワンデーを使い捨てする気にはなれないものだから。他の人はこういう時どうしてるのかなぁ。単に私がケチンボなのかしらん。
3時間ほどの作業で見直しと修正が終わり、いつものようにメールにあれこれ書き添えて送信したのが12時1分。お昼時になっちゃったなぁ、と思っていたらわずか2分後に返信が来て、その後なんどかメールのやりとりをして、この案件はひとまず終了。依然として保留中の案件は、困ったことにまったく見通しが立たないとのこと。待つしかないってことだぁね。
十分に3時間ほど眠れそう。どうか途中で目が覚めませんように。そして万が一にも寝過ごしたりしませんように。
幸い午後3時半にセットしたアラームが鳴るまで熟睡できた。軽く腹ごしらえをして、5時すぎに家を出て日比谷の日生劇場へ。この劇場に来るのは久しぶりだなぁ。「坂東玉三郎特別舞踊公演」の演目は「傾城」「藤娘」「楊貴妃」の3本。客演は「楊貴妃」の方士を演じる弥十郎さんのみで、あとは「傾城」で弟子の弘一さんが道中の花魁に肩を貸すだけで、後見と鳴物を除けば舞台には終始、玉三郎ひとりだけ。いくら若々しく美しいとはいっても玉三郎もすでに還暦を迎えているわけで、それぞれ20分と30分の休憩時間は着替えと化粧でいっぱいいっぱいだろうから、6時半の開演から8時半すぎの終演まで休むまもなく、ひとりで踊りきるのは一体どれだけ体力を消耗するのだろう。そもそも純然たる舞踊家ではなく歌舞伎役者がひとりで丸々1か月の舞踊公演で劇場を連日満員にできるというだけですごいことで、少なくとも当代では他に例がなく、玉三郎にしかできないのではないかしらん。
「傾城」の背景は歌舞伎の舞台でもよく使われるな仲之町の桜の風景なのだが、幕が開くと暗い中に鮮やかな背景のみが浮かび上がり、すでに板付きの玉三郎はシルエットのみで、その状態のまま長唄が始まる。暗さがよけいに桜を引き立たせ、とても効果的だった。「藤娘」も藤の木を上手よりにして、スッキリとした装置。「楊貴妃」も三重のベールの奥に玉垂れの東屋ひとつあるだけ。道具なんていらないのよねぇ。それはそれは美しい一挙手一投足に目が釘付けなんだもの。「楊貴妃」は今回が3回目か4回目だと思うのだけれど、今回初めて最後に貴妃が歌う場面がある。これがまたよかった。
二度寝した甲斐あって睡魔は気配すら見せず、普段の歌舞伎興行での踊りとは比べ物にならないぐらい集中して観たような気がする。ただ日生劇場は客席と舞台の位置関係で、最前列だと足元がほとんど見えないのが残念。
終演後、思いがけず雨が降っていたものの、日比谷駅の入り口は劇場の真ん前で濡れるひまもなく、自宅の最寄駅に着く頃にはやんでいた。ギリギリのタイミングで仕事が片付いてよかったなぁ。今も目を閉じると美しい楊貴妃の姿がありありと目に浮かぶ。はぁ〜。あと3回ぐらい観たいわぁ!