まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992011-01-24

夕べ同級生たちとの飲み会を途中で抜けて早く帰った甲斐あって、十分に睡眠をとって演舞場へ。初春歌舞伎の昼の部。なんたって最前列のど真ん中なもので、さすがに居眠りするわけにいかない。

幕開きの「御摂(ごひいき)勧進帳」は、いわゆる十八番の勧進帳より67年も早く中村座で初演されている。徐々に格式の高いものへと洗練されていった完成形としての十八番に比べ、なんともおおらかで明るい。弁慶が子供のように号泣してみせたり、「暫」のパロディとして、番卒の首を次々に引っこ抜いては大樽に入れ「芋洗い」を披露したり。この「芋洗い」は、「いもがさ」と呼ばれた疱瘡を退治する意味合いもあるという。弁慶のこしらえは「千本桜」の鳥居前によく似ているのだけれど、胸に大きく丸に「弁」の字ってどういうセンス? 弁慶は橋之助で、その息子の国生が義経の家来に加わっている。もうこんな役をやるぐらい大きくなったのねぇ。鈍藤太・運藤太の三枚目コンビとして三津之助&新十郎が活躍するのも嬉しい。お正月にふさわしいおめでたい一幕。

「妹背山婦女庭訓」より「三笠山御殿」はずいぶん久しぶりな気がする。蘇我入鹿役の左團次さんが私の真正面♪ 「車引」の時平とよく似たこしらえで、入鹿というと「日出処の天子」のイメージが強いものだから、ずいぶん違う。求女を演じるはずだった芝翫が病気休演で橋之助が代役。暗い印象の芝居なのだけれど、團十郎の鱶七が登場すると途端に空気が変わる。素晴らしい。豆腐買いのおむら、先代権十郎の姿が懐かしい。

「寿曽我対面」もよく出るなぁ。上演されない年はないんじゃ? 今回はなんだか全体的に低体温な感じがした。言い方を変えると、盛り上がらないの。それぞれの役にこれといって不満はなく、風姿も台詞回しもまったく文句ないんだけど、なんかこう淡々としていて、1+1を2にも3にもふくらませる化学変化のような何かが足りない感じ。巳之助が珍しく女形化粧坂少将。芝雀の大磯の虎を相手に引けを取らないのは立派。

終演後、東劇の窓口に寄り、メトロポリタンオペラのライブビューイング、今シーズンの第6作から第8作までのチケットを引き換える。以前、チケットの印字が消えてしまったことがあって、最近は窓口で「感熱紙のため消えやすいので気をつけて」と注意され、チケットの袋にも印刷した注意書きが挿入されるようになった。熱源に近づけるな、手帳や定期入れには入れるな、と。そんなことするより感熱紙での印刷をやめればいいのに!

帰宅後、コンブリオを聴きながら織り機に向かい、整経作業。手織教室は月2回なんだから十分時間があるはずなのに、どうしてこうギリギリになっちゃうんだろう???