まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座

しっかり寝て、スッキリ起きて、歌舞伎座へ。吉例顔見世大歌舞伎。

昼の部を通して「マハーバーラタ戦記」。バーフバリを再視聴した直後なので期待感が増していた。幕開けにずらりと神様が居並ぶ姿は、まさにキンキラキン。ここは記憶通りだけど、上の段にもう芝のぶさんがいる! 神様のひとりも兼ねているのね。

バーフバリのバラーラデーヴァに該当するドゥルヨーダナ(鶴妖朶王女)を演じる芝のぶさんが圧巻! X(Twitter)のトレンドに芝のぶさんの名前が毎日上っているのも納得。前回は七之助が演じていて、七之助も十分に魅力的だったけれど、こうした大役に不慣れなはずの芝のぶさんの大抜擢だけに、周囲の期待に十二分に応える渾身の演技に胸が震える。激しい立廻りに加えて階段落ちもあるから、アザだらけなんじゃないかと心配になるぐらい。

前回は左團次さんが演じていらして太陽神を彌十郎さん。敵対する帝釈天は、鴈治郎さんに変わって彦三郎さん。時蔵さんだったクンティ姫(汲手姫)を演じる米吉くんはいつもにも増して可愛らしい。

鶴妖朶王女と対立する5人の兄弟を(坂東)亀蔵、隼人、萬太郎、鷹之資、吉太郎。菊之助が演じるカルナ(迦楼奈)は、鶴妖朶王女と友情の契をしたために、戦に発展した彼らの対立に巻き込まれていく。

舞台の上手に、いつもとは違う民族楽器がたくさん置かれていて、インドらしい雰囲気を出したり、闘いの場面を早打ちで盛り上げたり。「血湧き肉躍る」という表現がぴったり。

最後にまた神々が登場する。芝のぶさんや菊之助、隼人など、別の役も兼ねていた人は着替えが大変だっただろうけれど、神々のみの出演だった人たちは、幕開きまでずっとあのとっても嵩張る金ピカの衣装のままで待機していたのかしらん。

夜の部の開場までそれほど時間がなかったので、まずは舞台写真売り場へ。迷わず芝のぶさんの写真を買う。もう1枚は、金ピカの音羽屋父子(菊五郎菊之助)。

夜の部は雰囲気が一変し、「松浦の太鼓」から。仁左衛門の松浦候、大好きなのよねぇ。心の動きが巧みに表現され、なにより愛嬌たっぷり。歌六宗匠との相性もよく、この2人はもう鉄板の配役と言っていいんじゃないかしらん。米吉くんはお縫でも活躍し、松緑の大高源吾もとても良かった。猿弥、隼人、鷹之資をはじめとする家来たちのチームワークもばっちり。

次の「鎌倉三代記」はどうも相性が悪いみたいで、どんなによく寝て行っても途中で意識が飛んでしまい、もう何度も観ているはずなのに、物語の筋がいっこうに頭に入ってこない。藤三郎実は佐々木高綱が登場するあたりから怪しくなるのよね。今回も同じトラップに陥ったので、感想は控えておくことにする。

最後に「顔見世季花姿繪(かおみせづきはなのすがたえ)」として踊りが3つ。まず「春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)」は曽我物で、種之助の五郎、染五郎の十郎、左近の静御前。若手がそろって初々しく爽やかな一幕。2つ目は、巳之助と右近の「三社祭」。踊り上手な二人は息もぴったりで、観ていて気持ちがいい。3つ目の「教草(おしえぐさ)吉原雀」では、又五郎・孝太郎の鳥追い夫婦が実は雀の精で、鳥刺しとして現れる男(歌昇)が実は鷹狩の侍。歌昇の出番はごく短く、この役ひとつのために夜遅くに出勤してくるのは大変だろうなぁ、と思ったりしたけど、しっかりと印象に残る活躍ぶり。踊りに疎い私でも十分に楽しめたものの、延寿太夫と右近の父子がそろって出演していたので、清元連中の人たちにちゃんと払ってあげてー、と思ってしまった。

終演は21時と普段より遅く、コミュニティバスが減便された影響で、最終のバスにギリギリセーフ。それにしても、芝のぶさん!! 圧巻だった!