まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

魔 笛

メトロポリタン・オペラのライブビューイングは、通常1作品1週間だけの上映のところ、ありがたいことに東劇だけは2週間上映してくれる。水曜日に観に行った「ドン・ジョヴァンニ」は、翌日の木曜日がその2週間の最終日というギリギリだった。そして今日は、昨日から上映が始まったばかりの「魔笛」。今シーズン最後の作品。

北千住駅構内のスタバで軽く腹ごしらえをしていくつもりが土曜日のせいか満席で、東銀座に着いてから木挽町広場のタリーズで、初めてのクワトロフォルマッジとアイスコーヒー。チーズにはちみつがよく合い、美味しかったー。

今回の魔笛は、両花道を使い、その間を横一直線につなぐ通路も作られ、オケはこのは花道と通路に囲まれている形。タミーノがオケの奏者の間を通り抜けたり、パパゲーノは花道から客席に降り、2列目と3列目の間には通路もなく、観客が立たないと通れないぐらいなのに、そこを無理やり通って行く。歌舞伎でも客席に降りることがあるけれど、通路以外は通らないのに。

もうひとつの大きな特徴として、効果音を担当する女性の演奏場所が上手の花道近く、客席からもよく見える場所で、様々な道具を作って音を出す様子をカメラがアップで捉え、パパゲーノが彼女にちょっかいを出したりもする。パパゲーノに与えられる魔法の鈴の代わりに使用される鍵盤楽器はトランクに入っていて、パパゲーノが奏者を押しのけて演奏を始めたと思ったら、演奏を奏者に代わると蓋を蹴ってバタンと閉じてしまったり、パパゲーナも閉じたトランクの上に乗っかってしまったりする。頑丈にできているにしても楽器なのに、と心配になるけれど、奏者の男性は紙コップを手に涼しい顔。

また、夜の女王は老いた姿で車椅子で登場。この2枚の写真はいずれも松竹のサイトから拝借したもので、同じ作品の同じ役を同じ人が演じているのに、こんなに違う。この役を長く演じ続けてきた中で、今回の演出が最もチャレンジングだとインタビューで語っていたキャスリン・ルイックは、カーテンコールで降り注ぐ称賛の拍手に涙していた。同じサイトから拝借した下の写真が彼女のプロフィール写真。メイクと衣装でこんなに大変身しちゃうんだからすごいわー。

3人の童子も老いさらばえた姿で登場。ヌードカラーの衣装はあばら骨が浮き上がって見え、メイクで目は落ち窪み、額が禿げ上がり、真っ白な髪のカツラ。杖を突きながらよろよろと歩く。声までは老いることなく、澄んだ歌声が素晴らしく美しかった。

ローレンス・ブラウンリーのタミーノにエレン・モーリーのタミーナ、トーマス・オーリマンスのパパゲーノ、スティーブン・ミリングのザラストロ。指揮は「ドン・ジョヴァンニ」に続いてナタリー・シュトゥッツマン。オーリマンスはピアニストとしても活動しているのだそうな。

大人気の作品だから様々な演出で上演されていて、もういいかげん出尽くしているんじゃないかと思いきや、まだまだこういう印象的・魅力的な新演出が出てくるんだから、飽きるはずがない。

北千住駅構内のスタバは帰りもまだ満席で、マルイの中のスタバでやっと空席を見つけ、クールライムを楽しみながら、図書館で借りた「圓朝」を読み終えた。

帰宅後には手織りに専念。まだまだ終わりそうにない。