まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座

朝から歌舞伎座へ。先月までは三部制で、今月から昼夜二部制。チケットを取る際に昼夜を別の日にするかどうか迷った末に結局、通しで観ることにした。しんどかったら来月から別の日にすればいいかと。

鳳凰祭四月大歌舞伎の昼の部は「新・陰陽師」。2013年9月に「新作歌舞伎 陰陽師」として上演された舞台と同じく夢枕獏さんの原作をもとにしているものの、再演ではなく、新たな演出で生まれ変わり、印象も全く違う。上演に先駆けて安倍晴明を演じる隼人と源博雅を演じる染五郎の2人をメインにした記事が多く目についていたのだけれど、実際の舞台は壱太郎の滝夜叉姫と右近の興世王、福之助の俵藤太と児太郎の桔梗の前の二組を軸に進み、晴明と博雅は影が薄く、出番はそれほど多くないのに異様な存在感を放つのが猿之助蘆屋道満。晴明が中心にいないだけで全体としては面白いんだけど、隼人がちょっと気の毒なような…。

夜の部は、まず仁左衛門の与三郎に玉三郎のお富という理想的な配役での「与話情浮名横櫛」(通称「切られ与三郎」)。海岸での見染の場と源氏店の場だけの上演が多く、歌舞伎座で「赤間別荘の場」も上演されるのは20年ぶり。そのときも仁玉コンビで、蝙蝠安は勘九郎時代の勘三郎、泉谷清兵衛は左團次さん。今月も清兵衛は左團次さんが演じるはずだったのに、初日から権十郎が代役していた。権十郎も清兵衛を度々演じていて不足はないのに、どうしても亡き人の姿を重ねてしまい、辛かった。

それにしても、の仁玉コンビ。まさに最強。与三郎を演じる人は他にもいるけれど、ただスッとした二枚目でなく、独特な柔らかさや優しさが垣間見えるのが仁左衛門ならでは。二人が別れ別れになっていた間も互いに強く想い合っていたのが伝わってくる。蝙蝠安は市蔵さん。小悪党の強さと弱さのバランスが絶妙。

幕間に、昼の部は観たかと隣りの女性に尋ねられ、観たと言ったら感想をきかれたので「面白かったですよ」と答えたら、「えええ、そうですかぁ?」と否定的。隼人と染五郎が「推し」でその二人がメインだと楽しみにしていたのに裏切られ、よっぽど途中で席を立とうと思った、とかなりお怒りのご様子。期待しすぎてしまったのね。

今月の締めは松緑・左近父子の連獅子で、間狂言坂東亀蔵権十郎。後シテの毛振りで二人の毛の流れがピッタリと揃っていて感銘を受けた。端正な連獅子。

とりあえず来月も昼夜通しで大丈夫そう。

夜にはNHK菅田将暉くんの SONGS。歌一本でも十分にやっていける歌唱力。単にうまいだけじゃなく、歌も彼にとっては自己表現の手段のひとつだと思わせる。ドラマチックなのよね。ファッションセンスも半端ないし、他にもまだとんでもない才能を秘めていそう。