まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座

しっかり寝て、しゃっきり起きて歌舞伎座へ。六月大歌舞伎。

まず第1部の「車引」。巳之助の梅王、壱太郎の桜丸という若い2人に松緑の松王丸が加わり、さらに猿之助の時平というフレッシュな配役。金棒引きに左團次さんのお弟子さんの左升さん、杉王丸はお孫さんの男寅くん ♪ 

幕切れに青隈で真っ赤な舌を出して仁王立ちになっていた猿之助が30分の幕間を経て童女に変身。澤瀉十種のうち「猪八戒」のタイトルロールで、酒に酔って猪八戒の正体を現す。右近の孫悟空に青虎の沙悟浄で、三蔵法師は登場しない。猿弥、笑三郎、笑也の妖魔の衣装がゴージャスな衣装で、もっと近くでじっくり見たかった。他にも多くの妖魔たちが登場し、スピーディーかつアクロバティックな立ち廻りが展開される。ものすごい運動量。台詞はほとんどなく、義太夫の語りに任せているのも面白い。

第二部までの間に、地下の木挽町広場にある歌舞伎茶屋で隈取カレー。

第二部の最初は、「鎌倉殿の13人」の義高役で話題を集めた染五郎「信康」。信長の命令で切腹させられるという境遇は義高に通じる。なんとか若君を助けようとする家臣を錦之助鴈治郎らが熱演し、信康の父である家康を白鸚。信康の実年齢に近い染五郎が演じるからこそのリアリティ。弥次喜多シリーズに出ていた頃は台詞が一本調子で幼さが目立っていたのだけれど、ぐっと成長したなぁ。頼もしい。

平成8年に新之助時代の海老蔵團十郎が親子で演じた役を26年後に高麗屋の祖父と孫が演じる。その間、一度も上演されていない珍しい演目。

続く「勢獅子」では、休演していた梅玉さんが復帰して松緑とともに鳶頭を演じ、雀右衛門扇雀の芸者や苔玉の手古舞などが居並ぶ中、鳶の者のうち鷹之資と種之助の踊りもキビキビとしていてよかったし、メインの獅子舞を亀蔵と種之助。華やかな幕切れ。

再び木挽町広場に降り、タリーズでひと休みしたあと、第三部は仁左衛門の休演で演目が差し替えになった「ふるあめりかに袖はぬらさじ」。歌舞伎座での上演は15年ぶり。玉三郎のお園、福之助の通辞藤吉、鴈治郎の岩亀楼主人などに加え、歌舞伎から新派に移った春猿改め河合雪之丞、月之助改め喜多村緑郎をはじめとする新派の面々が登場。多くの女優が芸者や遊女として舞台上にいるのが歌舞伎にとっては「非日常」で新鮮。

玉三郎のお園、良かったなぁ。15年前も良かったけど、さらに魅力的になっていた。少なくとも歌舞伎の世界では、玉三郎しか演じていないこの役。だからこそ急な差替えも対応できるんだろうなぁ。幕切れの後ろ姿が何とも言えない余韻を残す。珠玉の作品。

終演は21時過ぎといつもより遅く、22時過ぎに帰宅して、それから英訳の続き。でも明日も酵素風呂で早起きしないといけないから、2時間半だけで中断せざるを得なかった。納期に間に合うかどうか、ちょっと心配。