まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座へ

歌舞伎座の二月大歌舞伎は、第1部の鷹之資だけでなく、第3部でも体調不良による休演が相次ぎ、代役の代役が立ったり、14日から19日まで第3部のみ公演中止になったりと災難続きだったんだけど、20日から再開され、休んでいた巳之助も今日から復帰して、ようやく当初の配役どおりの上演となった。

迷った末に第1部はパスしたので、14時半開演の第2部から。まずは舞踊の「春調娘七草」は曾我物で、梅枝の十郎、萬太郎の五郎に千之助の静御前。若手が揃い、華やか。

続く「義経千本桜」より「渡海屋・大物浦」では、仁左衛門が一世一代として銀平実は平知盛を演じるのが話題で、楽しみにしていた。息子の孝太郎が典侍の局としてそばで見守り、時蔵義経安徳天皇は梅枝の息子の大晴くん。評判通り、凄まじいほど気迫のこもった素晴らしい知盛。油地獄の与兵衛とか、数々の色悪の役とか、まだまだ見せてほしい役がたくさんある。知盛が壮絶な最期を遂げたあと、義経らも立ち去った舞台にひとり残り、知盛の冥福を祈り法螺貝を吹き鳴らす弁慶を左團次さん! 知盛が深手を負ってなお抗おうとする場面でも、義経に斬りかかろうとする知盛を弁慶が制し、絵面に決まるお二人の姿が素晴らしすぎて、胸が踊った。

史実では壇ノ浦で入水して果てる安徳天皇がこの作品では義経に助けられるので、そのあとどうなったんだっけ? と調べてみた。前にも調べたことがあるような気もするけど、千本桜は大抵「四の切」までしか上演されないし、歌舞伎の「四の切」は四段目の途中までなのよね。四の切で河連法眼館に攻め込んでくる荒法師のひとりが実は平教経で、佐藤忠信と一騎打ちになり、忠信が組み伏せられたところを源九郎狐が現れて助けたところへ義経が登場。安徳天皇は母の建礼門院のもとで出家をしたことを告げ、教経は忠信に討たれ、平家がここに滅びるという結末。たまにはここまで上演してくれてもいいんじゃないかしらん。

タリーズでひと休み。第3部の間にお腹が鳴らないように、ツナメルトトースト。初めて食べたけど、なかなか美味しかった。

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第3部の最初は舞踊の「鬼次拍子舞」で、芝翫雀右衛門。この芝翫の役を彦三郎が代役し、さらに弟の亀蔵がその代役と大変だったのよね。

そのあとが松島屋の一世一代の次に楽しみだった「鼠小僧次郎吉」で、菊之助が鼠小僧を、息子の丑之助が蜆売り三吉を演じる。百両を騙り取られて困り果てる若い恋人たちを巳之助と新悟。鼠小僧は武家屋敷から盗んだ金で二人を助けるが、結局その二人に盗みの疑いがかかってしまう。良かれと思ってしたことがかえって相手を苦しめてしまうという構図は「ミステリと言う勿れ」の炎の天使と同じ。菊之助は、姿だけじゃなく声もいいのよねぇ。丑之助の三吉も健気で可愛らしく、台詞もしっかりしていた。

お財布の中に千円札4枚と小銭しかなかったのに、松島屋の銀平、左團次さんの弁慶、菊之助の鼠小僧と丑之助の三吉と、4枚も舞台写真を買っちゃった(1枚5百円で計2千円)。

21時10分と終演時間が遅めだったので、帰りは最終のバスにギリギリだった。確定申告の準備も今日はおやすみ。