まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

ライブビューイング

メトロポリタン・オペラのライブビューイングは、平日は夜の1回だけの上映で、日曜日だけ昼間の回もあるので、その昼間の回を予約したつもりだったのに、間違えて夜の回を予約してしまっていた。それなら平日でもよかったのにー、と凹んでいたのだけれど、もし昼間の回だったらフィギュアスケートエキシビションが始まる前に家を出ないといけなかったから、結果オーライかな。

そのライブビューイングで寝落ちしないよう、じっくり睡眠をとるため、今朝はゆっくり起きたので、起きてすぐにカーリング女子の決勝戦。英国には1次リーグでも敗れていて、スイス戦と同じように雪辱を果たせるか、と期待して応援。でも英国は強かった。最後はコンシードで日本チームは銀メダル。それでも、試合を見るたびにカーリングって面白いなぁと思ったし、そう思わせてくれたのは、いつも楽しげなロコ・ソラーレの面々。素晴らしかったよー!

フィギュアスケートエキシビションでは、トルソワもシェルバコワも笑顔だったのが救いで、エンディングでの選手たちの楽しげな様子が最高だった。競技のあとにこういうイベント的なことがあるのってフィギュアスケートだけで、選ばれた場合を想定して準備するのは大変だろうけれど、ファンとしては楽しいよねぇ。

…と、堪能したところで家を出る時間。というか、かなり切羽詰まっていたので、駅構内のベックスのジンジャーカレーで手っ取り早く食事を済ませ、東銀座の東劇へ。

今シーズン3作目の「エウリディーチェ」は、よく知られているオルフェウス伝説に基づく作品ではあるものの、エウリディーチェの視点から描いた新作で、メジャーではないせいか、客席には十人いたかどうか。昼間の回はもっと多かったのかな。

同じ主題のオペラを他にもいくつか観ていて、死んだ妻を取り戻そうと冥界に向かったオルフェウスが振り向いてはいけない、口をきいてもいけないと言われ、必死で耐えているのに、妻のほうは夫にあれこれと話しかけ、答えてくれないのは自分をもう好きではないからだろうと嘆くくだりがどうしても好きになれずにいた。自分が死んだあとも恋しいと想って迎えにきてくれたのに、その言いぐさはないだろう、と想っちゃうのね。でも今回のオペラでは、不安になった妻が思わず夫の名前を呼ぶと、夫がすぐに、というかあまりにもあっさりと振り向いてしまうので、客席から笑いが起こる。え? これで2人は引き離されて、終わっちゃうの? と思いきや、そのあとにしっかりドラマが用意されていて、これまでに観たオルフェウスものの中では一番良かった! 好き嫌いはあるかもしれないけど、私は大好き。妻の視点から描くことで、他のオルフェウスものにはなかった亡父との絆が描かれ、それでも悲劇で終わるんだけど、エウリディーチェがとても愛おしく思えた。

英語での上映で、エウリディーチェの発音は「ユーリディーシェ」に近い。背景のあちこちに英語の歌詞が字幕のように表示されるのも新鮮で、そのフォントが場面に応じて様々に異なるところに工夫が見られる。オルフェウスは、妻が自分より音楽のほうが大事なんじゃないかと不安がるほど音楽に夢中で、オルフェウスのその部分を具現化した分身が登場するのも面白い。また、冥界の王ハデスが濃いキャラで、ユーモラスでもあり、凄みもある怪演。ギリシャ神話のコロスに見立てた3つの石も擬人化され、石像のように見える衣装で、表情豊かに物語を紡いでいく。装置はシンプルで、冥界への入り口がエレベータのドアだったり、忘却の川がシャワールームだったり。エウリディーチェを演じたエレン・モーリーは、「ばらの騎士」のゾフィーなど、お嬢様的な役どころが多く、主役より脇の人だと思っていたから、見直しちゃったなぁ。素晴らしかった。そして、インタビュアーはルネ・フレミング。相手の素の魅力を引き出すのが上手で、流石だった。カーテンコールで、指揮者のヤニック・ネゼ=セガンがオケの全員を舞台に招いたのも良かったなぁ。客席も熱狂していた。大満足!

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