まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

国立劇場

国立劇場の1月は毎年恒例の音羽屋の初春歌舞伎。席数を減らしているので全体的に静かだけれど、劇場内には華やかな飾り。役者絵がずらりと並ぶ羽子板や、ロビーの階段の大凧も恒例の風景。

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今年の演目「四天王御江戸鏑(してんのうおえどのかぶらや)」は、土蜘蛛と将門伝説を組み合わせたような物語で、将門の遺児相馬良門が土蜘蛛の妖術を用いて天下取りと源氏への復讐を企む。

土蜘蛛と言えば、ひとつひとつ手作りされる蜘蛛の糸の小道具。細く長い糸が放たれる瞬間には、目をみはる華やかさがある。ただこの糸、立廻りの場面で用いられるため、鬘や衣装、刀などに引っかかってしまうことも少なくない。それが今回、この昔ながらの糸も用いつつ、新たな小道具が導入されていた。「越後獅子」などで使用される舞踊の小道具「さらし布」を応用したもので、うちわのような持ち手に通常は長い布がついているところ、これを6本の白く長いテープに替えたもので、新体操のリボンのように持ち手を振ることで、長いテープが流麗な軌跡を描く。極細な糸からテープに変わり、それぞれに個性があって、併用することで効果が倍増。うちわ状の面は黒地で蜘蛛の巣の絵が描かれていることにも工夫が見られる。これから他の公演でも使われるようになるのかしらん。

今月は歌舞伎座でも演舞場でも国立劇場でも歌舞伎が上演されているため小さな座組で、菊五郎菊之助松緑時蔵らがそれぞれにお家に仇なす側と守る側の役を兼ね、尾上右近は、新年を寿ぐ幕開きの三番叟と美しい女形を兼ねる。右近くん、ちょっと喉の調子が悪そうだった。風邪ぎみかな? 心配。

美しい女性から蜘蛛の精に変身した後の菊之助の所作に妖気が漂い、これまでに観た土蜘蛛にない動きで、とても良かった。

そしてなにより、菊五郎さん! 悪巧みの張本人である良門や忠臣側の渡辺綱の役もさることながら、いなせな鳶頭を演じる音羽屋が一番好き。

15時頃の終演後、半蔵門駅の近くにあるマザーインディアでカレーのセット。ナンの上にタンドリーチキン。カレーはたくさん種類がある中から2つを選べるシステムで、キーマエッグとほうれん草とチキンのカレーをチョイス。ナンとサフランライスの両方を楽しめるのも嬉しい。ココナツのデザートも美味しかった。これで千円ポッキリ。

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