まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座

f:id:maru99:20200820103942j:plain

昨日の国立劇場に続き、今日は歌舞伎座へ。八月花形歌舞伎。例年「八月納涼歌舞伎」と題していたのが納涼の文字が消え、花形に変更。花形は若手を意味していて、8月はもともと若手の公演だから、特に変更する必要はないように思うけれど、制作側にはなにか意図があるのかしらん。

幕間なしの完全入替制の4部制で、筋書の販売もなく、4つ折りのごく簡単な筋書が「1人1部ずつご自由にお取りください」という形で配布。席はひとつずつ空け、舞台からの飛沫が気になる人にはフェイスシールドを配布するという掲示もあったけれど、実際に付けている人はいなかった。上演中も扉をすべて開け放し、後方の扉も空いているので、外からでも舞台が見えるんじゃ? と思ったらそこはさすがに扉を開け放した空間に衝立が置かれていた。舞台写真の販売も、通常の売店内はスペースが狭く、人が集まってしまうのを避けるため、地下の木挽町広場に場所が移されているので、歌舞伎座のチケットがなくても誰でも購入できる。これはいいシステムかもしれない。鳴物方は国立劇場と同じ形の長い特注マスクをつけていて、国立劇場では白だったのが歌舞伎座は黒。唄いながら息を吸うと布が張り付くことがあるという、太夫のツイートも見かけた。そうよねぇ。大変そう。

第1部は11時から約1時間。愛之助・壱太郎の「連獅子」で間狂言橋之助・歌之助兄弟。開演前に壱太郎の声で、注意事項を含む挨拶のアナウンスが流れる。昨日の国立劇場とはまた違う感慨。客席にいる幸せを噛みしめる。開演前の静けさに加え、大向うも禁止されているので寂しさはある。その分、たくさん拍手。

歌之助くん、こんなに大きくなって…と調べたら、もう19歳。3兄弟の末っ子で、そろってのお披露目公演の際にはまだ3歳で、脚を大きく開いて見栄を切ったあと、脚を持ちこたえられずにどんどん開いてストンと尻もちをついてしまったのがもうたまらなく可愛らしかったのが忘れられない。

終演後は国立劇場と同様に、席に座ったままで待ち、スタッフの指示に従い後方から数列ずつ退場。幸いプロントで席を確保できたので、第2部の開場まで、持参した文庫本を読みながらゆったり過ごす。

13時45分に第2部「棒しばり」開演。開演前のアナウンスは巳之助の声で、内容は第1部とまったく同じ。扇雀の大名、巳之助の太郎冠者、勘九郎の次郎冠者。勘九郎は小さい頃から父勘三郎によく似ていたけれど、巳之助もこんなに父三津五郎に似ていたかしらん、と驚くほど、時折り見せる表情に三津五郎の面影が重なる。もちろん、若い二人の舞踊は父親たちの緩急自在な名舞台に遠く及ばないのだけれど、まだ入り口に立ったばかり。五年後、十年後、さらにその先の二人の「棒しばり」を楽しみにしたい。

f:id:maru99:20200820144236j:plain

14時半近くの終演後、13日に観劇した I さんのメールに触発され、ナイルレストランでムルギーランチ。久しぶり。「写真撮る? どうぞ」とチキンの骨を取る前に待っていてくれたので、お言葉に甘えて撮影。「よく混ぜてね」と、毎回言われるそのひとことも懐かしい。

そのあと近くの東京アートセンターへ。ここの強撚糸で織ったスカーフを手織教室で見せてもらい、とても素敵だったのと、これまで強撚糸で織った経験がないので、ぜひ織ってみたくなった。強撚糸は思ったより細いものが多く、ほとんどが単色で、唯一の変わり糸がやや太めだったので、強撚糸はその変わり糸だけにして、生成りの糸と合わせることにした。

アートセンターを出るとちょうど開場時間で、16時15分に第3部「吉野山」開演。七之助静御前猿之助佐藤忠信/源九郎狐、猿弥の逸見藤太で、開演前のアナウンスは猿弥の声で、内容は同じ。七之助は少し痩せたかしら? 通常、最後は静御前が花道を入った後、忠信は遠くから聞こえてくる鼓の音に反応し、狐の本性を表す手振りを見せてそのまま入っていくのに対し、今回は「四の切」のような火焔宝珠の衣装に変わり、通常以上に盛り上がる。猿之助のサービス精神の表れかしらん。

第4部「与話情浮名横櫛」より「源氏店」を残して歌舞伎座を後にする。残念ながら満席にはなっていないので、観ようと思えば当日券も買えたんだけど、入替制での4部通しはさすがにちょっとしんどい。

f:id:maru99:20200820181314j:plain昨日、国立劇場に向かう日比谷線の中で読み始めた文庫を昨日と今日の移動時間と幕間で読み進み、もうあとちょっとなので帰りに北千住でスタバに寄り、気になっていたほうじ茶のティーラテとわらび餅入りの抹茶マフィンを楽しみながら読書の続き。ティーラテを飲み終える前に読み終えた。三浦しをん「仏果を得ず」。文楽の世界が舞台で、主人公は若手の太夫。思わず応援したくなるような主人公で、面白かった!

ここのスタバは駅構内にあり、普段から満席のことが多いのに、今は席数を減らしているから、席がなくあきらめて帰る人も少なくない。そういう人がみんなテイクアウトするわけじゃないから、明らかに売上に影響してるよね。どこも大変。

昨日と今日と5か月ぶりに歌舞伎を堪能できた幸せ。ああ、やっぱり歌舞伎が大好きだ!!