まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

合同公演

歌舞伎座の観劇に先駆けて、半蔵門国立劇場へ。今年で26回目となる「稚魚の会・歌舞伎会合同公演」が今日でめでたく千穐楽。3日間とも無事に公演ができて本当に良かった。

f:id:maru99:20200821113400j:plain

修禅寺物語」「茶壺」「傾城反魂香」という3つの演目のうち、虎が出てくる最後の演目にちなんだ素敵な筋書き。この虎の絵は出演者のひとりが描いたそうな。立派!

歌舞伎俳優養成研修の修了者からなる「稚魚の会」と、それ以外の一般の歌舞伎俳優からなる「歌舞伎会」とは、平成10年までそれぞれに勉強会を開催しつつ、昭和63年から並行して合同公演も行っていて、それがもう26回目。「修善寺物語」は、平成9年の稚魚の会で、左團次さん門下の左升さん(当時は佐十次郎さん)が演じる頼家の美しい佇まいが今も目に残っている。あのときは姉娘が歌女之丞さん、妹娘を芝のぶさんだった。その11年後の今年は、面作り夜叉王の中村橋吾さん以外、最近とんと筋書きを買わなくなった私には名前と顔の一致しない若手の面々。それでも、勉強会であることを忘れるほどに完成度が高い。

「茶壺」のような滑稽味を必要とされる狂言のほうが若手には難しいようで、ただ一生懸命にやるだけでは自然なおかしみが出てこない。こちらも3人の出演者のいずれも私には新顔だったものの、それぞれに熱演。

そして最後の「傾城反魂香」(吃又)で、今年が最後の参加となる新十郎さんの又平に梅乃さんの女房おとく。素晴らしい! 安心して観ていられる。お二人とも流石だわー。

鳴物の皆さんは、鼻から胸のあたりまで白い布ですっぽり覆う特注のマスクをつけ、上手の盆の上という高いところで、しかも御簾の奥で語る太夫も三味線方も同じマスクを着用。また、花道の舞台近くでも芝居をするので、その付近の席も使用禁止になっていた。徹底している。

5か月ぶりの歌舞伎。その喜びと感謝と熱演への喝采をアンケート用紙にめいっぱい綴りたかったのに、今年はアンケート用紙が置かれていなくて、一応スタッフにもきいてみたんだけど、やはり今年は中止とのこと。アンケート用紙の受け渡しで感染するとは思えないから、記入のために館内にいる時間が長くなるのを避けるためかしらん。気持ちを伝えられないのが残念!

終演後、併設されている伝統芸能情報館で企画展示「歌舞伎の四季」を観る。浮世絵の多くは目にしたことがある作品だったけど、六代目尾上菊五郎が金の地に描いた華やかな桜の扇絵とか、貴重な展示をじっくり拝見。

帰宅後にひと息ついてから、METの配信を観る。1984年の「フランチェスカ・ダ・リミニ」。上演回数が少なく一度しか観たことがない作品だし、ネットで調べても対訳がなく、あらすじもごく簡単なものしか出てこないのに、頼りの字幕が表示されない。これは困った、とあれこれ調べていたら、Twitter にも字幕が出ないという英語の書き込みがいくつかあり、それに続いて「こちらを試してみて」と字幕が表示されるストリーミングのリンクが貼られているのを発見。そのリンクから英語の字幕付きで鑑賞できた。リンクを貼ってくれた人に感謝。

先日の「ルイザ・ミラー」に続き、タイトルロールをレナート・スコット、彼女と相思相愛のロドルフォをプラシド・ドミンゴ。この名コンビに加え、フランチェスカが政略結婚させられてしまうジョヴァンニを「リゴレット」のタイトルロールほか、こちらもおなじみのコーネル・マクニール。字幕のおかげで十分に楽しめた。

さあ、明日は歌舞伎座