まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座

天気予報によると、初夏の気候で最高気温は23度。でも最低気温は9度と低く、服装に迷った末に、インナーを薄手に変え、コートはダウンからウールに。このチョイスで正解だった。

緊急事態宣言を受けて開演時間が繰り上がり、10時半開演となった歌舞伎座へ。二月大歌舞伎の第1部、最初の幕は「本朝廿四孝」より「十種香」。なんだか久しぶりな気がして調べてみたら、歌舞伎座では2015年の12月以来。門之助の勝頼が初役なのも意外。やわらかな風姿でピッタリ。孝太郎の濡衣、魁春の八重垣姫、錦之助の謙信。

続いて「泥棒と若殿」。2007年の團菊祭で三津五郎松緑が演じたこの作品を十数年を経て、松緑三津五郎の息子の巳之助と演じる。みっくんこと巳之助は、「ワンピース」などの新作ではキレッキレにはじけまくる一方、この作品では翳りを帯びた凛とした若殿様。口跡の爽やかさが光る。父三津五郎の面影が重なり、懐かしくなった。

第二部までの幕間は1時間半弱。この間に食事を済ませてから、歌舞伎座地下の木挽町広場へ。豪華なひな壇が飾られていた。

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第二部。「お染久松」のゆすり場では、仁左衛門の喜兵衛に玉三郎のお六、油屋の丁稚に寺島眞秀くんが出ていて、私の後ろの席にいた男の子が眞秀くんの友達らしく、友達に視線を向けては頬が緩んでしまう眞秀くん。終演後、「まほろ、めっちゃにやけたね」とその男の子が言えばお父さんも「あんなににやにやしていたら怒られるかも」と答えていて、思わず笑ってしまった。

仁玉コンビがいなせな鳶頭と美しい芸者の姿に様変わりして「神田祭」。眼福眼福。

2回めの幕間にはタリーズへ。先月と違い、スマホも時計もあるので時間の管理は万全。第1部・第2部とも2つの演目の間に読んでいた「神様の御用人」第2巻を読み進め、最後の休憩時間のためにひとつだけ章を残しておいた。

第3部は中村屋。まず「袖萩祭文」で七之助の袖萩に、勘九郎の次男長三郎のおきみ。反対を押し切って駆け落ちの末、盲となった袖萩と娘おきみのいたわり合う姿が涙を誘う。立場上、勘当した娘を追い返さざるを得ない老親を歌六東蔵。袖萩の夫貞任を勘九郎、その弟宗任を芝翫七之助は盲の役だから、常に目を閉じた状態での演技。線の細い人だから哀れさが増し、いい袖萩だった。

わずか15分の幕間を経て、勘九郎勘太郎の連獅子。今日がちょうど10歳の誕生日だった勘太郎の一生懸命さがいじらしい。鶴松・萬太郎の間狂言に続き、いよいよ獅子となっての毛振り。まだ小さな勘太郎と父勘太郎とでは体格がまったく違うのに、毛の流れがピッタリとシンクロし、乱れることがない。これこそ中村屋ならでは。最近は、腰や首でブンブン回すような毛振りも少なくないんだけど、たくさん回せばいいというものではないし、やはり毛の流れが美しくないとねぇ。その点でも素晴らしかった今回の連獅子。こうして受け継がれていくのだなぁ、と胸が熱くなった。

大満足で歌舞伎座をあとにし、帰りの日比谷線の車内に貼ってあった広告で「ブルーピリオド」新刊の発売とアニメ化決定を知り、書店に寄って新刊をゲット。帰宅後「アノニマス」を見てから早速その新刊を読んだ。まさかアニメ化されるとは思っていなかったなぁ。楽しみ。