まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

映 画

「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」という映画が職業柄もあって気になっていたのだけれど、例によって腰が重くて先延ばししているうち、上映館数がかなり少なくなってきてしまった。仕事が途切れている今のうちに、と数少ない選択肢の中から上映時間と場所でアップリンク吉祥寺を選び、割引が適用される今日の回を予約しておいた。

身支度をしているところへ、長らくご無沙汰だったクライアントからのメール。もう3~4年ぶりじゃないかしらん。ひょっとしてメールアドレスの変更通知で思い出してくれたのかも。

急ぎの和訳の依頼で、金曜日の朝までにほしいと。予定通り映画を観に行っても、今夜スタートすれば間に合いそうなので対応可の返信をしたところ、すぐにゴーサインが出た。

アップリンク吉祥寺はパルコ吉祥寺店の地下にある。ちょっと早く着いたので、発券してから別の階のスタバで待機。空席はほとんどなく、コロナウイルスの影響はそれほど感じられない。

時間を見計らって地下へ。フランスとベルギーで制作された映画で、原題はフランス語で Les traducteurs。パンフレットには英語で The TRANSLATORS と表記されていて、直訳すれば「翻訳家」の複数形で、人数は明らかにされていない。その意味でも、邦題はちょっと作りこみすぎかなぁ。でも、単に「翻訳家たち」とかだったら、あんまり観る気がしないか。

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スクリーン1は席数が63席と少なく、私がネットで予約した時点では10席程度しか埋まっていなかったけれど、予想外に増えていて、それでも3分の1程度。

ものすごーく面白かった! 後半に向けてどんどん緊迫感が増し、ああ、あれもこれも伏線だったのね、と脚本の巧さに舌を巻く。

ネタバレになるので詳しくは書けないんだけど、1点だけ。9人の翻訳家のひとりは小説家になることを熱望している主婦で、そんな才能はないと罵倒され、自殺してしまう。その彼女をめぐり「翻訳家にしかなれなかった」という台詞があった。それってちょっと翻訳家に失礼じゃない? 小説家に求められる資質と翻訳家に求められる資質とは違うと思っているし、小説家になれなかった人ばかりが仕方なく翻訳家になるわけじゃないんだし。

映画館を出たあと、せっかく吉祥寺に来たのだから、とユザワヤに寄る。とはいえニャンドゥティも手織も糸はもう足りているので、刺繍用の針を1セットだけ。レジにはいつもどおり長蛇の列。応援要請の店内放送を何度繰り返しても、それぞれに忙しいのか応援に駆けつけるスタッフはなく、列はいっこうに進まない。ここのレジはいつもこう、とみんな慣れているから平静そのもの。

帰宅後、和訳をスタート。日付が変わる前にひととおり訳し終えた。納期より前倒しで納品できそう。よしよし。

そうそう、今日は忘れてはならない日。あの大地震が発生した時刻には映画の上映中なので、まだ予告映像が始まる前の静かな時間のうちに、席でひっそりと黙祷をした。

和訳を終えたあと、録画しておいた「ねほりんぱほりん」を見る。「震災で家族が行方不明の人」として、父親が行方不明の娘さんと、夫が行方不明の奥様が登場。どちらの話も心に刺さり、涙してしまった。いまだ悲しみの中にいらっしゃる方たちに幸あれ。