あまのじゃくというか食わず嫌いというか、どういうわけかジブリ作品をちゃんと観たことがなくて、「風の谷のナウシカ」も同様。歌舞伎化されることになり、原作を知らないからなぁ、と迷ったけど、でもまぁ一応、とチケットを取った。でもリサーチ不足で、まさか昼夜通しでの上演だとは思わず、チケットを取ったのは夜の部だけ。通しだということに気付いて昼の部のチケットを補充しようと思ったときには、すでに完売していてアウト。まぁ、考えようによっては、昼の部だけを観るよりは夜の部だけのほうが「完結」する分、いいかな。
ここ数年、なるべく買わないようにしている筋書を買い、昼の部のあらすじをお勉強。なんだか複雑。一度読んだだけではまったく頭に入ってこない。原作を知っていればスッと入って来るのかしらん。もう一度読んでみたけど、難しいわー。開幕前に、独特な幕の写真をば。
写真は幕の一部だけ。もっといろんなものが描き込まれていて、とてもユニーク。
幕が開くと、種之助が道化として登場し、全体の世界観を解説してくれる。でもその後しばらくはもうなにがなんやらで、昼の部のあらすじを読んだぐらいでは理解が追いつかないや、とお手上げの状態。それでも、後半に向かうにつれてドラマチックな場面が増えてきて、やっと全体像がつかめてきた。原作のファンの人たちはこの舞台をどのように受け止めたのかしらん。
庭の主として登場した芝のぶくんが圧巻だった。姿は稚児のようでありながら、いかにも「主」らしい低い声と、ナウシカの母の姿に変わって女形の高い声とを使い分け、時空を超えた謎めいた存在として小柄な身体が大きく見えたのは、オーラを放っていたからかなぁ。
連獅子の趣向を戦いの場に用いていたのも秀逸。白の毛を振るのは歌昇で、赤の毛を振るのは…だぁれ? 赤っ面に奇抜なメイクで見分けがつかなかったんだけど、次の場面での台詞の声で右近だと分かった。二人が毛を振り立て振り立て戦う間にナウシカが割って入る。伝統的な連獅子の毛振りがとても新鮮に見えた。
菊之助の怪我もあり、演出の一部を変更したという。この公演、2月と3月に前後編に分けて映画館で上映されることが決まっていたり、舞台写真がネットで通販されていたりと異例な扱い。これから他の公演もそういう扱いになるのかしら。