まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992014-08-26

今日は朝から歌舞伎座へ。8月は毎年「納涼歌舞伎」と題して三部制。第三部は明日の千秋楽に残しておいて、今日は第一部と第二部。

幕開きは、事前に谷崎潤一郎の原作を文庫版で予習しておいた「恐怖時代」。たくさん死んで、たくさん血が出る。でもちょっと、谷崎が思い描いた世界とは違うような気がした。もっと耽美的な…。とはいえ若手ばかりの舞台だから求めすぎてはいけないか。優しげに振る舞いながら平然と次々に斬り殺していく伊織之助を妖しく演じる七之助が光っていた。

そのあとは龍と虎が争うさまを舞踊にした「龍虎」で、獅童の龍に巳之助の虎。獅童の毛振りが直線的すぎて、巳之助のほうがきれいに円を描いていた。隈取がお面のようになっていたのか、毛振りのあと、もとの白塗りに戻る演出は面白かった(お面だったら、激しく振っている間にはずれちゃいそうだから、別の方法だったのかも)。

ここで第一部は終了。もし歌舞伎初体験の人がこの第一部だけを観たら、歌舞伎の本来の面白さは伝わらないかも…。

第二部初めの「信州川中島」輝虎配膳の場は、以前、歌舞伎史を連載していた頃に資料調べをしていて、大正から昭和の初めに度々上演されているのを目にしていながら、実際の上演を観るのは今回がわずかに二度目という珍しい演目。これまで頼りなげで不安定な印象が強かった児太郎が武家の女房をきっぱりと力強く演じていて見直した。お父さんに似てきたねぇ…と思いつつ、いまだ復帰のかなわない福助にしばし思いをはせる。

「たぬき」の金兵衛を三津五郎。とくれば幇間の蝶作は勘三郎だったのを、勘九郎が演じる。根が生真面目だから、ちょっと力が入りすぎちゃうのね。山左衛門の老隠亡がいい味。誰もが金兵衛は死んだのだから別人だと騙されているのに、父親だと見抜く幼子を七緒八クン。大きな声だったわりにはほとんど聞き取れなかったけど、「お父ちゃんだ!」と言っていた…はず ^^;

「恐怖時代」では恋人と信じていた伊織之助に殺される梅野、「信州川中島」では女形の老役のうちでも難しいとされる「三婆」に数えられる越路、「たぬき」では遊郭の女将と、それぞれまったく違う役で大活躍だった萬次郎さんに敢闘賞をあげてほしい!

夜にはテニス観戦。全米オープンの2日めに錦織圭クンが登場。右足親指裏の嚢胞を除去する手術後初めての試合で、準備不足だから不安だと言っていたのに、始まってみれば絶好調で、3-0完勝で2回戦進出。最高の笑顔が見られてよかった♪