朝から歌舞伎座へ。「芸術祭十月大歌舞伎」を昼夜通しで。勘三郎の七回忌追善で、ロビーに写真が飾られていたのだけれど、なんかねぇ、まだ受け止めきれていなくて真正面から見ることができず、心の中で手を合わせる。
昼の部は最前列のほぼ中央。七之助のお嬢吉三、巳之助のお坊吉三、獅童の和尚吉三の「三人吉三巴白浪」で幕開け。この場だけだと、3人の前に出てくる道具屋と金貸しのやり取りが「なんのこっちゃ」なんだけど、まぁ、見取りでの上演だから仕方がない。
「大江山酒呑童子」では、勘九郎の酒呑童子に勘三郎の面影を感じる反面、小さい頃はそっくりだったのに、2児の父となった今、お父さんとは違う個性も出てきて、兄弟ともに「伸び盛り」だなぁ、としみじみ。
昼の部最後の「佐倉義民伝」では、白鷗の宗吾に七之助がその妻を、宗吾が直訴をする将軍を勘九郎が演じる。老いた渡し守を歌六。勘三郎の宗吾が二代目又五郎の渡し守の小さな背中を抱くように手を当てた場面に涙したことを思い出す。今回は泣けなかったけども。
昼の部が終わり、2階のロビーでスマフォに電源を入れたら、昼の部が始まった直後に仕事のメールが入っていた。あと10分早ければ、芝居が始まる前に返信できたのに、と思いながら返信。幸い、夜の部が始まる前に何度かやりとりをして、受注完了 (^^)
チケットが僅少だった夜の部は、最前列ではあるものの花道のキワキワ。最初は「宮島のだんまり」。「だんまり」というのは何人もの登場人物が暗闇の中で探り合いをする様子を動きだけで見せるもので、次々に出てくる人物のどれが誰やら説明もないし、暗闇という設定でも実際は照明が明るいから、「だんまり」の意味をあらかじめ知っていないと何をしているのか分からないのよね。幕が閉まった途端「今の分かった?」「全然」という声が聞こえたのも仕方ないか。
玉三郎の静御前、勘九郎の狐忠信、巳之助の早見藤太で「吉野山」。眼福眼福。
次がお楽しみの「助六曲輪初花桜」。まず仁左衛門の助六の出端の場面にうっとり。花道キワキワの席だから、手が届きそうな至近距離なんだもの。揚巻は七之助。せっかく玉三郎がいるなら仁玉で…という思いもあったのだけれど、その玉三郎が助六こと五郎と十郎の母の役で揚巻に付き添われながら登場するのを見て、玉三郎が七之助にバトンを渡したように思えた。白酒売に扮した十郎を演じるのは勘九郎。70代の仁左衛門がまだ30代の勘九郎の弟を演じて違和感がないのがすごい。アドリブ自由の「通人」を弥十郎。勘三郎を偲ぶ言葉に目頭が熱くなる。
写真はなるべく買わないように控えてるんだけど、仁左衛門の助六を2枚、買わずにはいられなかったわー (^^ゞ
22時近くに帰宅し、すぐに仕事をスタート。いつものワードではなく、パワーポイントでの作業。すべての文章をあらかじめ設定されているテキストボックスに収める必要があり、基本的に和文英訳だともとの和文より英文のほうが長くなりがちだから、なるべく単語数の少ない表現を用いるようにしても収まりきらない場合はフォントを小さくしたりと工夫が必要。でも頭の体操みたいで、嫌いじゃないのよね。
午前4時半近くまでかかってしまったけれど、3つのファイルのうち1つを最後まで訳し終えた。ふぅ。