昼の部だからちゃんと寝なくちゃ、と午前2時すぎにはベッドに入ったのに、どういうわけかなんとしても眠れず、4時、5時と時間はすぎていき、とうとう一睡もできないまま7時を回ってしまい、やむなく寝るのをあきらめた。居眠りしそうで不安だけど、仕方がない。
「妹背山婦女庭訓」から「三笠山御殿」。この場面でよかった。「山の段」や「道行恋苧環」だったら間違いなく寝落ちしていた。
松緑の鱶七に菊之助のお三輪。「疑着の相」と言われる嫉妬に狂った女の凄まじい悪相をお三輪が見せるのが眼目のひとつなのだが、菊ちゃんは終始美しく、悪相にはならなかったなぁ。国立劇場で福助が見せた表情は悪相すぎたぐらいだったけども。
続いて「暗闇の丑松」。お米はこれまで時蔵さんがベストだったんだけど、息子の梅枝クンに入れ替わってしまった。何をやっても若手と思えないぐらいクリーンヒット連発の梅枝クン、今にも消え入りそうなお米の表情が素晴らしかった。松緑の丑松もいかにも一本気で、二人とも毎日この芝居を繰り返しているとは思えないぐらいに、今この時だけ、という切羽詰まったリアリティが感じられて、ものすごく引きこまれた。かつては菊十郎さんが当たり役にしていたお風呂の番頭役を咲十郎さん。生き生きしていてよかったわぁ。
夜の部ほど短くはなく、午後3時すぎに終演。今月は、ル・テアトル銀座では海老蔵が、演舞場の昼の部では松緑が、そして夜の部では染五郎がそれぞれに大奮闘。どちらも「花形歌舞伎」で、上の世代の重厚な舞台は歌舞伎座のこけら落としまでおあずけ。
終演後に東銀座駅の歌舞伎座口に回ってみたら、駅から歌舞伎座へと続く構内はもう営業を開始していた。タリーズもあるのね。歌舞伎茶屋はここに来たのか。ふむふむ。大きな提灯をパチリ。
帰宅後はコンブリオを聴きながら手織りを進める。よろけ縞のマフラー、早く完成させたーい!