まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992010-09-24

8時起き。9時半すぎの電車で東銀座に向かう。新橋演舞場で秀山祭。そのために夕べは手織りを早めに切り上げた。

幕開きは「月宴紅葉繍(つきのうたげもみじのいろどり)」という優美な名題の舞踊で、梅玉在原業平魁春小野小町。この兄弟には、燦々と輝く太陽より青白い光を放つ月の方がイメージに合うなぁ。

幕間に私の席の真ん前に階段が設置された。歌舞伎座では舞台と直角に通路に向けて設置するけど、演舞場では舞台と客席の間が狭いので横向き。次の「沼津」で、吉右衛門の十兵衛と歌六の平作がこの階段で舞台から客席に降り、ぐるりとひとめぐりして花道から舞台へと戻る。足の爪までハッキリ見える至近距離。天秤棒で荷物を担いだ平作が「ごめんやっしゃ」と言いながら私の前を通って行った。

でもこの芝居、後半がどうしても耐え切れない。今回に限らず、いつも途中で意識をなくしてしまう。それも眠気と闘うどころか、眠いと意識する前に完落ちしてしまうんだよねぇ。これが心配で夕べ早めに寝たのに、ハッと気づいた時にはもう平作が腹を切っていた。

次の「荒川の佐吉」ではまったく眠気なんて感じなかったから、やっぱり体調がどうこうでなく、芝居のせいだと思うんだよねぇ。仁左衛門の佐吉に孝太郎の八重、千之助の宇之吉と松島屋三世代が揃う。段四郎の仁兵衛が良くて、初役と知ってビックリ。染五郎の辰五郎も佐吉のことが好きで好きで仕方がないのが伝わってきてくる。歌六の郷右衛門もピタリとはまり、この人にはやっぱり平作のような老け役よりこういうスッキリとした役をたくさんやってほしい。相政に吉右衛門でビシッとしまる。さすが。

最後は藤十郎がひとりで踊る「寿梅鉢萬歳」。今月は、藤十郎芝翫富十郎もそれぞれ踊りを一幕ずつだけ。贅沢なような寂しいような。

今日はこのあともうひとつイベントがあり、めったに行かない赤坂へ。時間の余裕があったので、TBSのある赤坂サカスのスタバでひと休み。オッターヴァのスタジオもTBSの中にあるので、ちょっとワクワク。

赤坂ACTシアターで6時半から志の輔らくご。これまでWOWOWの映像やCDだけで、生で聴くのは初めて。幕開きは「バールのようなもの」。宝石強盗がバールのようなものでシャッターをこじあけ…という現代のニュースをネタにしているのに、大工の八っつぁんと大家さんの会話でまったく違和感がない。「女のような」は女じゃないし、「夢のような」は夢じゃない。じゃあ「バールのような」はバールじゃないのか? 着眼点がすごい。

続いて森鴎外高瀬舟」。中入り後にご本人が「ただの朗読で落語じゃないじゃないか」と、確かにそう言われればそうなんだけど、素晴らしかった。客席が水を打ったように静まり返って志の輔さんの発する言葉のひとつひとつに集中している。暗く揺れる水面が眼に浮かぶようだった。語り終わって仲入りの間に、周囲で何人かがアプリの電子ブックで「高瀬舟」にアクセスしていた。すごい時代になったねぇ。

最後の「徂徠豆腐」はWOWOWで体験済みなのに、それでもグイグイ引きこまれ、やっぱり同じところでグッときた。いやぁ、面白かった!

大満足での帰り道、油絵の先生から、個展の準備に追われていてどうしても間に合いそうにないので、直前で申し訳ないが明日の教室を別の日に変更してもらえないかとメールが届く。私も手織りの宿題が間に合いそうにないので大歓迎 (^^ゞ

ケーキも作らなくてよくなったので、帰宅後は心置きなく手織りに専念。でもまだまだゴールは見えないわ〜。