まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992010-04-18

案の定、初めて生で聴くクラシックコンサートを前になかなか寝付けなかったのだけれど、ふっと目が覚め、いつのまにか寝入っていたことに気づく。そんな寝たり起きたりを何度か繰り返し、のべ6〜7時間の睡眠を確保。

クラシック初体験の場は東京オペラシティコンサートホール。新宿から乗り慣れない京王新線で初台へ。ホールに入ると、ステージ上にはピアノが1台あるだけ。そう、今日はピアノリサイタル。チラシによれば「現代屈指のベートーヴェン弾き」であるところのルドルフ・ブッフビンダーによる「オール・ベートーヴェン・プログラム」。3曲ともピアノ・ソナタで、「第10番 ト長調 Op.14-2」「ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 Op.57 − 熱情」「第29番 変ロ長調 Op.106 − ハンマークラヴィーア」というラインアップ。

開演時刻になり、ステージ上に現れたブッフビンダー氏は、グレーのスーツに同系色のネクタイと至って地味な服装で、コンサートの中継によくあるようなカメラを意識した過度な演出は一切なく、真摯にピアノと対話をしているかのような厳かさがあり、表情豊かな音色がストレートに心にしみる演奏だった。

Ottava でかけてもらった「ハンマークラヴィーア」の途中で、ピアノ線が切れてしまうまさかのアクシデント! 第1楽章の終わりに演奏中断。大きな道具箱を抱えた調律師が駆けつける。一時退場を勧めるスタッフに、ブッフビンダー氏は「いや、いいから」と手で示し、ピアノのそばで作業を見守っていたのだけれど、かなり時間がかかりそうな様子に「やれやれ」と肩をすくめて控え室へ。客席もトイレに立つ人が多く、ザワザワ。歌舞伎や文楽の舞台では三味線の弦が切れてもあっという間に張り替えてすぐに弾き始めるけれど、さすがにピアノはそうはいかないのね。十数分ほど経っただろうか。調律師の方がようやく作業を終えて引き上げる時には客席から拍手が起きた。

演奏再開。「ハンマークラヴィーア」大好きになってしまった。予定のプログラムをすべて終了し、嵐のような拍手に応じてアンコール。同じくベートーヴェンの「悲愴」第3楽章が終わってもなお客席の熱は静まらず、さらに「グリュンヘルト:ソワレ・デ・ヴィエンヌ」で華麗な締めくくり。素晴らしかった。

そもそも「ハンマークラヴィーア」自体が技術と体力を要する曲で、「熱情」に続いてこれを弾くだけで大変なこと、とOttavaの斎藤さんが仰っていたのに、ブッフビンダー氏は昨日・一昨日とN響のコンサートで弾き、明日も別の会場でリサイタル。どれだけタフなのか!

終演後、席が離れていた I さんと合流し、オペラシティの中にある面影屋珈琲へ。カルボナーラ風のホットサンドと2種類のケーキをそれぞれ半分こ。はちみつレモンのシフォンもカプチーノタルトも美味しかった。クラシックに詳しい I さんからいろいろ教えて頂き、他にもいくつかのコンサートにお誘い頂いた。なんせ素人には聴くべきコンサートを選ぶこと自体が難しいから、ご一緒させて頂けるのは嬉しい。でもなかにはチケット代がかなり高価なものもあるから、節約してチケット代の予算組まなきゃ!

帰宅後、今野敏「青の調査ファイル」を読了。心の栄養、たっぷり。