まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

絵看板から (部分)

maru992008-07-31

今日の歌舞伎座は千秋楽の夜の部だから、家を出る時間までにあれもこれもと考えていたのに、結局ほとんど何も手につかないまま3時を回ってしまった。


泉鏡花の 「夜叉ヶ池」 と 「高野聖」 の2本立て。前者は、泉鏡花の作品ばかり4本を並べた2006年7月に続く再演となる。初演時に百合と雪姫を春猿が2役で演じたのは、以前、玉三郎が2役で演じた際の印象があまりに強かったために、演出家が今回もと希望した結果だったそうだが、物語の筋からは2役で演じる必然性や特別な効果があるわけではないから、玉三郎のように独特なオーラのある役者が演じる場合はともかく、猿之助一門だけの上演であれば今回のように百合を春猿、雪姫を笑三郎と分けた方がスッキリする。段治郎の萩原、右近の山沢、吉弥の万年姥、薪車の代議士、寿猿の村長、欣弥の神主など、その他の主な配役は前回と同じ。どちらかというと控えめな役の多い笑三郎が情熱的な雪姫を好演。新派からの出演も多く、鯰の黒和尚もてっきりそうだと思ったら、猿弥だったのでビックリ。蟹や鯉やいろんな生き物が擬人化されていて楽しい。一方、物語の本筋は、純粋な恋人たちと身勝手な村人たちを対比させ、異界と現世の対比とあいまって、重層的なおもしろさがある。相対的に前回よりもパワーアップした印象。


そしていよいよ待望の 「高野聖」。もう30年近く前に左團次さんの宗朝でテレビドラマ化されたことがある。確か録画したビデオテープをまだ取ってあるはずだけど…。その宗朝を海老蔵、魔性の女を玉三郎が演じるなんて、考えただけでもう〜(←言葉にできない)。


うっそうとした森を表すリアルな大道具が素晴らしい。男を自在に獣の姿に変えてしまう女の不思議な力。その力で馬に変えられてしまった馬が売られていこうとする時、暴れるのを鎮めるために女が着物の前をはだける場面がある。また、滝つぼで汗を流す宗朝の背後から、女が自分も着物を脱いで身体を押し付ける場面がある。どちらも、妖艶な女を演じているのは本当は男の玉三郎と頭では分かっているのに、というかだからこそ、その不可思議な美しさと妖しさに圧倒されてしまう。


宗朝が獣に変えられてしまうことなく別れた女に想いを残し、立ち止まったところへ、馬を売って帰ってきた親父が来合わせ、馬の正体や女の不思議な力、女がその力を持つに至った経緯などを語って聞かせる。これが思わずご苦労様と言いたくなるような長台詞。その間、ただ神妙に聴いている宗朝にも特にしどころがない。とはいえ、原作がもともと宗朝が旅籠で同室になった相手に語り聞かせる寝物語なのだから、説明的になってしまうのは仕方がない。


今月は昼夜とも良かったなぁ。大満足♪


さ〜て、明日はのんびり、と思ったらアルパのレッスンじゃん! きゃ〜っ!