今年最後の歌舞伎座。新年からは3部制に変わるので、4部制はひとまず最後。踊りだけの第1部をパスして、第2部から第4部まで。
第2部は落語をもとにした「心中月夜星野屋」の再演で、中車の星野屋、七之助のおたかに片岡亀蔵の藤助は初演時と同じ。おたかの母は獅童から猿弥に変わった。アドリブ満載だったようで、猿弥が七之助に「今日はちょっと当たりが強くない?」「いつもと違うじゃない」などとツッコミを入れ、二人ともとても楽しそう。中車もお得意の虫ネタや半沢直樹に出てきたらしい語尾を使ったりして(ドラマを見てなくてよく分からなかったけど)大いにウケていた。初演も観ているからどうなるか分かっていても面白かった。
入れ替え制で幕間が1時間半以上あるので、ゆっくり食事をしてから、地下の木挽町広場を回ってみる。舞台写真は第4部のを1枚だけ。その分の会計をしていたら、「お茶どうぞ」と「近江のお茶」50g入りのパックをもらった。そのあと別の店をのぞいていたら、また同じオジサンがお茶を配りに来たので「さきほど頂きました」と手もとのパックを見せたら「愛想のいい人にはもうひとつ」とまたもらってしまった。家で日本茶ってあまり飲まないんだけど、そうとは言えないよねぇ、この状況で。
第3部は「吃又」こと「傾城反魂香」より「土佐将監館の場」で、勘九郎の又平に猿之助のおとく、市蔵の将監に梅花の北の方、鶴松の修理之助に團子の雅楽之助。勘九郎の素直で真面目な芸風にこの役はとってもよく合うなぁ。猿之助のおとくも夫への深い愛情が伝わってきてとても良かった。もう何度も観ている作品なのに、又平の悲願が叶い土佐の名字を許される場面で、よかったねぇ、とじーんとしちゃった。
2度めの幕間は2時間近くあるので、木挽町広場のタリーズに行ってみたら、残り少ない空席がかろうじてとれ、手帳にあれこれ書き込みしながらゆったり過ごせた。ここのタリーズ、19時で閉まっちゃうのよね。第4部の開演は19時15分。
その第4部は「日本振袖始」で、感染してしまった孝太郎の濃厚接触者として休演していた玉三郎が復帰し、岩長姫実は八岐大蛇という变化の役を演じ、休演中この役を代役していた菊之助が本来の素戔嗚命の役に戻り、櫛名田姫を梅枝が演じる。玉三郎は赤姫の姿で登場し、大蛇に変わると白塗りに青隈、目と口の周りには鮮やかな紅と鬼のような拵えで、台詞がなければ玉三郎かどうか確認できないぐらい。手下というか、巨大な大蛇の身体を表す分身というか、他にも数名が同じ拵え。普段は立廻りの面々も、名前までは分からなくても見知った顔として判別できるのに、今回はもうお手上げで誰が誰やら。
八岐大蛇がなぜ岩長姫の姿で現れるのか、不思議に思い調べてみたら、本来は特定の夫婦の娘が次々に生贄にされ、その末娘が櫛名田姫であるところ、醜いと蔑まれて婚家から戻されたという岩長姫の話をないまぜにしたのだと分かった。美しい娘への嫉妬から、村で美人と評判の娘が生贄にされると。なるほどねぇ。
20時すぎに終演し、帰宅後ひと息ついてから、「この恋あたためますか」の最終回。毎週楽しみに見ていたから、終わっちゃって寂しい。シャッチョさーん!