まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

東京アートセンターで

maru992008-07-30

大きなプロジェクトのために7月末までは忙しい、と依頼を断っていた結果、そのプロジェクトのスケジュール変更で手があいても依頼が来なくて、7月10日を最後に仕事をしないまま、今日と明日は楽しい歌舞伎座。仕事がなければそれほど夜更かしすることもないので、たっぷり睡眠をとってまずは今日の昼の部へ。


たまには余裕をもって、と早めに家を出たというのに、こういう時に限って開場時間がいつもより30分遅いとは。事前にチェックしなかったのがいけないんだけど、3部制の8月以外は毎月11時開演とばかり思っていたから。ぶらぶら散歩でもして時間をつぶすには暑すぎるので、久々に歌舞伎座横の喫茶店 「暫」 へ。かろうじて隅っこに空席ひとつ。ラッキー。


今月の目玉はなんといっても海老蔵玉三郎の共演で、個人的には夜の部の 「高野聖」 が一番のお楽しみ。でも一般には 『義経千本桜』 の方がウケがいいらしく、チケットの売れ行きは圧倒的に昼の部の方がよかったらしい。もっとも、夜の部は2つの演目のうち1つにしか海老蔵が出ないのに対し、昼の部は海老蔵出ずっぱりだから、そのせいかもしれないけれど。長い狂言のうち狐忠信が登場する場面だけを集めた忠信編はただでさえ人気の演目なのに、その忠信を海老蔵が演じるとなれば、さもありなん。でも見慣れた芝居だから、と正直タカをくくっていた。それをすっかり覆してくれちゃうんだから、やっぱり今の海老蔵ってすごい。素顔は豪放磊落な印象が強いけれど、こと芝居となると神経質なぐらいに、ひとつひとつの動きもおろそかにせず、所作のすべてが絵になっているのは、単に生まれついた容姿がいいばかりでなく、たとえば指先とか、身体の隅々まで意識が行き届いているのだと思う。まず最初の 「鳥居前」 では、何がすごいって、海老蔵の声量。後半に登場して、それまでの芝居を一気に吹き飛ばしてしまった。この場の忠信は鬘が独特で、なかなか似合う人がいないんだけど、海老蔵だとそんな鬘もしっくりきちゃう。


吉野山」 もさんざん見飽きたほどの一幕なのに、今回はセットからして違っていた。一面桜の扉が左右に引き分けると、上手の小山に玉三郎静御前、下手には 「妹背山」 を思わせる吉野川。水が流れる仕掛けも 「妹背山」 と同じ。振り付けもいつもとは違っていたように思う。幕切れ近くに狐の人形が登場するのも斬新で、この人形の造形が素晴らしい。狐の人形が静御前の身支度を手伝うさまを見ているうちに、たとえば大島弓子のチビ猫シリーズのように、ひょっとして静の目にだけ狐でなく忠信に見えているのじゃないかしらん、と思えてくる。


そして 「四の切」。海老蔵のこの幕は前にも見ているけれど、今回の方が明らかにパワーアップしている。まず人間の忠信で登場した時、あまりに立派なのでまた義経が吹っ飛んじゃうかと思いきや、そこはさすがに門之助、貫禄たっぷりの一喝で踏ん張った。「鳥居前」 の四天王のうち亀井だけが紅隈だったのは、この場面の赤っ面につながるわけね、と納得。アクロバットもどきの所作が続く場面では、海老蔵の身体能力の高さに圧倒される。それでいて、親への情愛もたっぷり見せ、な〜んかもう、すっかり海老蔵にやられてしまった。圧巻。


大満足で歌舞伎座を出た後、東京アートセンターに寄り、中細の毛糸を3色。セール中で2割引♪ その後、橘苑という和装小物のお店で、東袋のようなバックを衝動買いしてしまった。いい芝居で気分がいいとこれだから危険!


さらにスタバでひと息ついて、夕食も済ませて帰宅。お風呂の中で、ずいぶん前に買ったのに読んでいなかったコミックス 「神童」 全3巻を一気読み。


明日も歌舞伎座。うれしいな♪