まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

ジャポネスク秋の花 5

maru992006-11-26

今月6回目にして最後の歌舞伎。歌舞伎座は昼も夜も作務衣で行ってしまったし、今日の国立劇場は正午開演で余裕もあるから着物で行こう、と久々に母が遺した着物で出かける。


鴈治郎改め藤十郎大石内蔵助をつとめる芝居の千秋楽とあって、ロビーには扇千景さんのお姿が。遠巻きにしてなかなか声をかけられずにいる人たちに、にっこりと微笑む。地味なお着物なのに華やかに見えるのはオーラのせいかしらん。


演舞場でもお会いした三田歌舞研のオジサマにまたもバッタリ。会わない時はまったく会わないのにねぇ。ミクシィ&歌舞伎のお仲間にも偶然お会いして、楽しい幕間。最前列でも左寄り、花道から4つめぐらいの席だったので、舞台を左斜めから見ることになる。この角度がとても新鮮だった。同じ舞台でも見る場所によってまったく違って見えるんだなぁ、とあらためて実感。最後の幕切れにシンシンと雪が降る場面で、頭の上からザッザッと音がして、見上げると黒い幕がゆらゆらと揺れている隙間から雪片がいっぱい入った籠が見えた。こんなふうに裏側がのぞける瞬間が好き。今月の国立劇場は2回目なのだけれど、初めて目にした場面があったりなんかして。前回しっかり寝てたのねぇ。


北千住で着物のお店に寄り、買い物を済ませ、さらにJTBに寄って沖縄旅行のチケットを受け取る。もうそんなに遠いことではないのよねぇ。その前に書評の締め切りとアルパの演奏会があるけど。スタバで書評の本の読み残しを読了。あとは書くだけ。読みさえすれば書けるというわけではないのが厳しいところ。


このところお風呂の中で読み続けてきた山下和美不思議な少年」 を読み終えた。永遠の命を持つ異界の者が時空を自在に飛び回り、様々な時代、様々な国の人間たちと交流するというのはパターンのひとつで、篠原烏童の 「ファサード」 もそうだ。でもファサードは様々な能力を持つ異界の者たちの集合体であるのに対し、少年はたった一人で、常に自分は何者なのか、その存在意義は、と考えこみ、悩んでいるファサードと違って、自分自身の存在をあるがままに受け入れているように見える。また、ファサードは常に人間を愛し、友人であろうとするけれど、少年は、時に深く愛して傷つくことはあっても、自分とは異なる人間というものに対して距離を置いたスタンスをとることが多い。「異界の者」 の性格付けと人間との関わり方によって、パターンは同じでもまったく違うものになる、そこが面白い。

不思議な少年 (1)不思議な少年 (2)不思議な少年 (3)不思議な少年 (4)不思議な少年 (5)