まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

花かご弁当

maru992006-05-01

このところ毎日毎日どうしても起きられずにいたのに、歌舞伎座の日となると7時の目覚まし一度でパッチリシャッキリ起きちゃうんだからゲンキンもいいところ。


今日は暑くなるらしい。熊谷では30度?! えええ〜っ!! 羽織はいらないんだろうなぁ。でも帯にイマイチ自信がない時は、羽織があれば隠してくれる。今日は昼の部で着物のお店に寄ってチェックしてもらう時間はないし、普通のお太鼓ならもうチェックしてもらわなくてもそれほど不安はないのだけれど、今日は小幅帯の変わり結びで遊んでしまったから、やっぱり不安〜。案の定、袷の白大島に薄手とはいえ羽織を着ていったら、駅までの道にもうじんわりと汗ばむぐらいに暑かった。


日比谷線の中で、私の前に立ったオバサン2人の話題が映画から歌舞伎に移り、「獅童って歌六の息子でしょ?」「そうそう」「そうよね」 って、違〜う! 同じ萬屋一門だけど、全然違いますから〜! 言いたくても言えずにモンモンとしている間に、オバサンたちの話題はもう次に移ってしまっていた。はぁ〜。


今日の昼の部は、事前に約束したわけでもないのにネットで知り合った歌舞伎のお仲間が4人も集まることになったので、ネットで食事の予約を入れてもらった。一幕目を見終わった後に食堂に集まり、歌舞伎の話で盛り上がりながら 「花かご弁当」 を頂く。35分の幕間なんてあっという間で、追い立てられるようにそれぞれの席へ。


踊りをはさんで、待ちに待った團十郎復帰の舞台。テレビカメラもたくさん花道の出を待っている。ワクワク。いよいよ花道から登場したその途端、客席は大きな拍手に包まれて、思わずハンカチを目にあてている人の姿がそこここに。花道での短いやりとりのあと本舞台にかかり、最前列のほぼ真ん中だった私の目の前に團十郎がいる。その絶大なる存在感。もう理屈も何もなくて、自然に涙が出てきてしまった。團十郎が舞台にいる。それだけでもう十分。誰もがそんな思いだったんじゃないだろうか。


この幕の後、ロビーに出るともうメンバーが全員そろっていて、口々に感動の言葉で盛り上がり、またまたあっという間に幕間が終わってしまう。いい舞台を観て、その感想を語り合える友人がいる幸せ。


昼の部最後の幕は、あまり出ない世話物で、これがもう初日とあって台詞があやしくて、爆笑につぐ爆笑。團十郎復帰の感動の後にこんなに笑っていいのかっていうぐらいで、もう最高!


しかも今日はこれだけでは終わらない。夜の部の終演後に約束があるので、それまでメンバーのひとりにちょっとだけお茶をお付き合い頂いた後、映画でも見て時間をつぶすつもりでいたのだけれど、彼女は最後の最後まで付き合ってくれて、昼の部の終演から9時近くまでず〜っと一緒にオシャベリしっぱなし! こんなに長い間引き止めて無理やり付き合わせちゃいけないって途中で何度も思ったのに、結局は彼女の好意に甘えてしまった。私の方が年上なのに、いっつも何かしらやらかしてしまう私のことを心配してくれて、お世話をしてくれる彼女はまるでオネエサマのよう…。ありがとう!!!


彼女と分かれて歌舞伎座の楽屋口へ向かうと、出待ちの人がたくさん。次々と役者さんも出てきて、そのたびに人ごみがドッと移動する。なかでも黒いスーツに黒いサングラスで海老蔵が登場した時はすごかった。しばらくのちに、お約束の役者さんがいらして、私たちがご挨拶をすると、会釈を返しながら、どこかへ行ってしまいそうになる。いえいえ、お約束して頂いたのは私たちです〜! 「じゃあ、行きましょうか」 と連れて行って下さったお店は、歌舞伎座に程近いとっても小粋なお店で、美味しいお酒とお料理に舌鼓を打ちながら、日頃は伺うことのできない貴重なお話や、とんでもないお話や、次から次へと途切れることなく、特に左團次さんの話題になった時なんか、もう笑い死にするかと思っちゃった。途中でお店の電話が鳴り、「お待ちしています」 と若い女将さんが答えたそのすぐ後、さらに役者さんの4人グループがいらして、もう嬉しすぎ〜。こんなに楽しくてシアワセでいいのかしら〜。


終演が9時すぎだったので、ワイワイと盛り上がっている間に、えっ?! 12時?! えええ〜っ!! 慌しくご挨拶をして、駅までダッシュ! それでももう終電には間に合わない時間だから、行けるところまで行って、あとはタクシーだな、と思いながら、東京駅から中央線に乗り換える皆様とお別れして私ひとり山手線へ。ふと後ろのサラリーマンの会話が耳に入った。「千代田線はもう間に合わないけど上野から常磐線ならまだあるだろう」「間に合うかぁ?」 「分からないけど … たぶん」 えっ? そうなの?! 電車は御徒町を出たところ。すぐにケータイからiモードで乗り換え案内にアクセスし、次の上野で乗り換えれば終電に間に合うことが分かった。真っ赤な顔した2人組みのオニイサン、ありがとう! おかげで無事に終電に乗れて、うっかり座ったけれど、寝ちゃうかも … と思ったら、朝からシクシクと悲鳴を上げていた右肩の痛みがズキンズキンに変わって、そのおかげで寝入らずに済んだ。朝から痛かった割には歌舞伎で楽しい思いをしている間は忘れていたわ〜。


歌舞伎と出会ったおかげで、私の人生はなんて豊かになったんだろう。左團次さんしかり、I さんとのお付き合いももとはといえば歌舞伎だった。他にも歌舞伎のお仲間はいっぱいできたし、書評を書かせてもらっているのもそうだし、そもそも毎月欠かさず通っている歌舞伎そのものがどれだけ元気のもとになってるか … と、せっかく感慨にふけっているのに、「オネエサ〜ン、お茶飲んでいかない?」 と不届きなやからが。「てやんでぇ、おとといおいで! スットコドッコイ!」 と芝居のように言ってやりたいところをグッとこらえてシカトシカト。


ああ、なんてシアワセな1日だったんでしょう!