まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992013-04-02

新しい歌舞伎座がいよいよ幕を開ける初日だというのに、朝から雨。たくさん詰めかけている報道陣もレインコートで重装備。

定刻通りに開場。中に入ってすぐの第一印象は「前とおんなじ」。もちろんエレベータやエスカレータができたり客席から舞台が見えやすくなったりと、あれこれ良くなっているのだけれど、全体的な雰囲気は前の歌舞伎座とほとんど変わっていなくて、それがまず嬉しかった。

二階のロビーから出入り口を見下ろして、ふと顔を上げると、そこには仙台でご一緒したコンブリオのリスナーさん。今日いらっしゃるのはきいていたけれど、こんなに早くお会いできるなんて。ひとしきりオシャベリをしてから、二階の自分の席へ。

「壽祝歌舞伎華彩(ことぶきいわうかぶきのいろどり)」で幕が開く。ものすごい歓声。みんなやっぱりこの日を待っていたのだなぁ、とあらためて思う。染五郎魁春に続いて若手がズラリと並んで踊り、最後に藤十郎が大迫りから登場。團十郎と番の鶴になるはずだったのに、團十郎の急逝で雌鶴だけでは寂しいからと若手が出ることになったそうな。居るべき人の居ない寂しさ。とはいえ新しい時代の幕開きにふさわしい華やかな一幕。

続く「お祭り」は勘三郎が踊るはずだったのに、勘三郎に捧げる演目となってしまった。中村屋に縁の深い顔ぶれが揃い、小山三さんの姿があるだけで目頭が熱くなるのに、花道から勘九郎に手を引かれてトコトコ歩く七緒八クン。どんなにか自分が手を引いて出たかっただろうにと思うと、たまらなくなって涙腺決壊。

休憩の間にロビーを散策。亡くなった名優たちの写真が並ぶコーナーに波乃久里子さんがいらして、「ノリが一番若いのよ」と近しい方に話していらした。本当にねぇ。胸が詰まる。

「熊谷陣屋」を最後まで観てしまうと手織教室に間に合わないおそれがあり、かといって最初から観ないで行くと早すぎてしまう。でも一幕物で途中に区切りがないのよねぇ。通路沿いの席じゃないから出にくいし…と迷っている間に開幕。吉右衛門の熊谷に玉三郎の相模、仁左衛門義経と豪華版。熊谷と相模にとっては恩人にあたる藤の方を菊之助というのは若すぎて、さぞやプレッシャーが…とちょっと気の毒。よく出る演目ではあるけれど、普段とは違う気合を感じる充実の舞台。

最後の最後、熊谷ひとりを花道に残して幕が閉まり始めたところでお詫びしながら席を立つ。少し早いだけでも終演直後の混雑を避けられるからだいぶ違うはず。これが大正解で、急いで手織教室に向かうと、いつも仕事で早退せざるを得ないメンバーが帰ろうとするところにバッタリ。会えてよかった! 立ち話の状態のままでステンレスと竹の網針を見てもらった。

幸い今日は全員出席で、他の方にも網針を見せ、3人から即注文。まだ考慮中の人もいるのでちょっと保留。まだ雨が降り続いていたので、電車より歩く距離が少なくて済むバスで帰宅。忙しかったけど、記念すべき1日は無事に終了。

夜に WOWOW で「ヒミズ」という映画を観た。なんというか … 震災直後の瓦礫の風景の扱い方に、ちょっと納得がいかなかった。

写真は、歌舞伎座特製のランチパック「豆大福風」。パンの間に豆大福のアンコの部分だけが入っているのかと思ったら、ホイップクリーム求肥も入っていて、まさに豆大福の味。155円也。