まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

團菊祭

最高気温が一昨日は26度、昨日は29度だったのが今日は18度。もう着ないと思っていたマジカルサーモコートを引っ張り出して着て、東銀座へ。

今月の歌舞伎座は團菊祭五月大歌舞伎。昼の部は「寿曽我対面」で始まり、梅玉の工藤に松也・右近の五郎・十郎兄弟。最近、松也がやたらとバラエティに出ているので、舞台の上で真剣に演じているのを見ても、バラエティでの表情がよぎって邪魔をする。

続いて「若き日の信長」。歌舞伎座で観るのは、先代の團十郎のあと、当代では2015年に続いて2回目。児太郎の弥生がいい。殿を諫めることができないという自責の念から自害してしまう守役の中務を梅玉、その長男を男女蔵さん。左團次さんが亡くなった直後の役が父親の死を看取る役だなんてねぇ…。

と、個人的にちょっとしんみりしたあと、眞秀くんの襲名を祝う「音聞眞秀若武者」。ここでは「眞秀」を「まことの」と読む。祝幕はシャネルのサポートを得たもので、9千枚近くのオーガンジーでデザインされている。初日からだいぶ日数が経っているので、あちこちのオーガンジーがめくれたりはがれたりしているけれど、そのへんかも含めてアートっぽい。眞秀くんは少女の姿で登場し、男子であることを明らかにしたあと、勇壮な立ち廻り。台詞も明朗だし、とっても良かった。冒頭の場面で上段に居並ぶ菊之助團十郎。ちゃんと團菊がそろう團菊祭って久しぶりなんじゃ?

昼の部の終演後、眞秀くんがあんまり可愛かったから、舞台写真を眞秀くんだけで3枚も買ってしまった。他にも夜の部の菊之助の新三と韃靼を1枚ずつ。舞台写真も1枚600円に値上げされたからばかにならないのにー。

夜の部の最初は「宮島のだんまり」。ストーリーは特にないから、次々に出てくる登場人物たちを眺めるだけで終わってしまい、楽しみ方がよく分からない。

異色の舞踊劇「達陀(だったん)」。初めて観たときの衝撃は今でも忘れられない。2回目になるはずだった2004年3月は、伯母の病院と私の退職でバタバタしていて、チケットを取っていたのにすっかり忘れて観逃してしまったという別の意味の衝撃もあり、2020年12月の日生劇場での舞台も観ているので、3回目。僧集慶(松緑)とかつての恋人(梅枝)のしっとりとしたやりとりに続き、対照的にダイナミックな群舞。勢いよく膝を折って床に打ち付け、大きな音を出す場面では、膝に痛みが出ないのかと心配になってしまう。終幕時には思わず「おつかれさまー」と言いたくなっちゃう。

そして最後は「髪結新三」。菊之助の新三に児太郎のおくま、萬太郎の忠七に菊次の勝奴、彦三郎の源七に菊市郎の善八とフレッシュな顔ぶれで、権十郎の家主も意外にも初役だそうな。雀右衛門のお常に錦之助の藤兵衛。忠七が新三に騙されたことに気付き「死ぬよりほかはない」と思いつめ、源七が「死んではならない」と止める場面で、歌舞伎ってこういう場面が多いんだよねぇ、と今更ながらに思う。猿之助がいずれ復帰できたとして、こういう台詞を言えるのか。観客はそれをどう受け止めればいいのか…。

複雑な思いで帰路につく。昼の部と夜の部の間にスマホをチェックしたら、大型案件の見積もり依頼が届いていて、帰宅後に返信をすることになっていた。パワーポイントの書類で、しかも部分訳だから、通常の書類に比べて所要時間の見積もりが難しい。5月中という要望には応えられると思うけれど、果たしてどれぐらい時間がかかるのか、正直、見当がつかない。結局、だいぶ幅をもたせた時間数を提示し、誤差の可能性も書き添えるしかなかった。受注が確定すると、大忙しになっちゃいそう。