まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

カーテンコール

maru992005-05-27

朝から英訳の続き。なんとか歌舞伎座へ向かう前に訳し終えたい。間に合うか? 時間を気にしながらスパートをかける。家を出るギリギリのタイムリミットは3時半。2時をすぎ2時半をすぎ…。3時をほんのちょっとすぎたところで終了〜。ぜいぜい。見直しのために和英両方プリント。和文約40ページに対して英文約60ページ。これだけあると見直しもひと仕事だなぁ。


今日の歌舞伎座は最前列じゃないから、昨日半額でゲットした作務衣で出かける。裾にも模様が入っているのが割りと珍しくてお気に入り。ちょっと用があって 「橘苑」 に立ち寄ると、お店のオバちゃんたちが大絶賛。「まるでちょっと個性的なスーツを着てるみたい!」 って、オバちゃん、自分とこの商品だからってそれは言いすぎ。


千秋楽の歌舞伎座前には報道陣の姿もあり、立見席にも長蛇の列。場内も異様な熱気に包まれている。いつものように和服姿も多い中、浴衣でもなく、まるで長襦袢をそのまま羽織っているかのような若い女の子がいた。袖の開きからいきなり腕が見えたから1枚しか着ていないのは確か。絞りの帯に下駄履きという浴衣のスタイルなんだけど、ツルンとした生地といいデザインといいどう見ても長襦袢っぽい。補正もしていないから身体の線そのままで、なんかこう、個性的というよりは、しどけないというか、なんだか下着でそのまま歩いているような…。着物をどう着こなすかはその人次第とはいえ、決して魅力的とは感じなかったなぁ。


花道外とはいえ3列目というのはなかなか面白い席だ。昔よりだいぶ本舞台寄りになった七三 (花道で役者が立ち止まり、見得を切ったりする場所) のあたりで、上手側からの強いスポットライトで絶妙な陰影ができる。もし開幕中の写真が許されるとしたらぜひ撮りたいアングルだ。花道を通る役者に手が届きそうな至近距離だから、豪華な衣裳の質感も手に取るようで素晴らしい。見慣れた芝居も角度が変わると新鮮。意外な発見だった。


歌舞伎座の豆餅と豆大福が好きで、昨日に続いて売店に行ったら、昨日と同じオバちゃんが私のことを覚えていたのでビックリ。作務衣が目印になって覚えていてもらえることは割と多いのだけれど、今回目印になったのはうさぎ柄の藍染のバッグ。そういえばこのバッグもよくいろんな人に面白いって言われるな。豆餅が売り切れだったのが残念。


今日はいろんなオバちゃんに声をかけられる日だ。客席でも、隣りのオバちゃんがいきなり 「あなた、肌きれいねぇ」 と話しかけてきたので驚いた。どんなファンデーションを使っているのかときくからファンデーションは塗っていないと答えると、大げさなリアクションにこっちがビックリ。最近は着物を着たときですらファンデーションは使っていない。UVケアの後に眉と口紅だけ。ちょっと前まではシミが気になっていたのだけれど、藤祭りのあと温泉に行った時、私は顔にホクロが多いのでシミよりむしろホクロに目が行くと言われ、自分は長年なじんだホクロだから目に入らなくてシミばかり気になるけど他人様はそうじゃないのね、とすご〜く納得して、シミなんかどうでもよくなっちゃった。化粧をしないって、楽なのよね〜。


千秋楽だからさぞいろんな人が来ているかと思いきや、見かけた有名人は大宅映子さんぐらいだったな。特に最後の野田版 「研辰」 では思った以上の盛り上がりようで、前の幕で 「鷺娘」 を踊った玉三郎が真っ赤な着物の町娘姿で特別出演したかと思うと、最後には鷺の精のこしらえに戻って再登場。終演後も拍手が鳴り止まずカーテンコールが何度も繰り返される中、後ろの席では若い男の子が異様なまでのハイテンションで 「勘三郎サイコー!」 と叫んだりもしていたのだけれど、もともと野田さんの芝居が苦手なせいか、チームワークや舞台の熱気はさすがだと思うし、再演なのに飽きさせない工夫にも感心したものの、客席が盛り上がれば盛り上がるほどアマノジャクにしらけてしまい、芝居としてはあまり楽しめなかった。とはいえ、カーテンコールで勘三郎がひとりで舞台上にいる間もずっと袖に共演者たちが集まってみんな拍手しているのが見えて、勘三郎がいかに愛されているかをあらためて実感。また、中村京蔵さんも自分のHPで勘三郎の人柄を伝えるエピソードを紹介していて、自分の一門以外の人たちにもあたたかく気を配る勘三郎だからこそこれほど愛されるのだろうなぁ、と思う反面、最近は消息すら伝えられることのない猿之助に思いをはせたりもして、なかなかに複雑なものが…。


とかなんとか言いながら、開幕中は写真厳禁のところカーテンコールは撮ってる人がたくさんいたので私も便乗してしっかりケータイで撮影しちゃったりして、結局はミーハーなんだけどね。