まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992004-09-07

西の方は強力な台風で大変なことになっているのに、カラリと晴れた青い空。陽射しが強くて暑くなりそう … と思いつつ身支度を始めた途端にポツポツと雨が降り始め、窓に打ち付けるほど激しくなってきた。なんで〜? せっかく着た作務衣を脱いでジーンズとTシャツに着替え、出かけようとしたら、あれれ、晴れてる。なんなの〜? また作務衣に着替えるのも面倒だから、そのまま下駄をはいて家を出た。そしたら5分も経たないうちにまた降り出して、ひどい土砂降り。なんなのよ〜! 下駄の鼻緒をグショグショにして、駅に着いたら … 晴れた。なんなんだ一体!

伯母はぐっすりと寝ていた。昨日まではなかった加湿器が伯母の頭上から蒸気を吐き出している。口を大きく開けて呼吸しているので口の中が乾いてしまっていたのだが、これでずいぶん楽になるのだろう。

洗濯物として出されていたのはパジャマのズボンだけ。不思議に思って布団をめくると、体位を変えやすいようにバスタオルを敷いた上に寝かされている伯母の下半身が紙おむつだけの状態でむき出しになっていた。尿は管から取っているから紙おむつも本来の使い方はしていないのだけれど、それでも交換が必要なので、交換しやすいようにとの配慮なのだろう。やむを得ないと思う。でも、もう何も食べられなくなっても見た目を気にしてはずすのをいやがっていた入れ歯をはずされてしまった上に、とりわけ下の世話をされることを嫌がっていたのにズボンまで脱がされてしまっていることを思うと、すでに認識できる状態にないとはいえ、可哀相になってしまう。

いっこうに起きる気配のない伯母の枕元ですることもなくボ〜ッとしているところへお客様。伯母のご近所の方で、久しぶりに訪ねたものの伯母がよく寝ているので、談話室で30分ほど時間をつぶしていたと仰る。せっかく来て下さったのに申し訳ないので、揺り起こそうと身体をゆすっても、手を握って左右に振っても、伯母は目を覚まさない。「起こさなくていいから」 と仰るその方は、もうすっかり元気になっているとばかり思っていたから、あまりの変わりように涙が止まらなかったと言い、伯母の手をさすりながら、「私より2つも若いのに…」と声をつまらせた。

しばらくその方と話しているうちに、伯母がようやく眼を覚ましたのでホッとした。様々に話しかけて下さるその方の顔を伯母はじっと見ている。私が声をかけると私の方を見る。だが声は出ない。視線が動いているだけで見えているのかどうかも分からなかったが、「答えられないだけで、きっと聞こえているんだと思います」 と私が言うと、「そうだよね。聞こえてるよね」 と、伯母の髪をなで、「早く元気になって帰ってきてくれないと、一緒にお茶を飲んでくれる人もいなくて寂しいよ」 と涙声になった。伯母だけでなく、その方の寂しさが伝わってきて切なかった。

「必ずまた来ます」 と何度も何度も頭を下げてお客様が帰った後、しばらくすると伯母の顔が赤くなってきたような気がして、手を握るとひどく熱かった。看護婦さんを呼んで測ってもらうと38度9分。ずっとしていたアイスノンを新しいのに替え、さらに座薬を入れてもらう。その間も伯母は眼を覚ます様子がない。夕方から夜にかけて意識レベルが下がる状態が続いているので、今日はもう呼びかけても反応しないと思う、と言われた。

熱は高いが安定している。それでもなんだかすぐに帰る気がしなくて、連絡ノートを見返しているうちにふと思いついて、私が病院に来た日を書き出してみた。1月9日の入院からまる8ヶ月。数えてみたら、今日がなんとピッタリ50回目の訪問だった。「もう50回」 なのか、それとも 「まだ50回」 なのか、その辺がなんとも…。