まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992004-09-18



今23時を過ぎたところ。昨日病院に着いてからすでに31時間が経過している。今夜は空きベッドを使わせてもらえたので身体が楽だ。
伯母は今朝一番で顔を拭いてもらい、午後には全身を拭いてもらい髪をとかしてもらい爪も切ってもらった。定期的な血圧計測、検温、尿の計量、鼻から管を通して行う痰の除去、紙おむつの交換などはすべて看護師さんたちがやってくれるので、私がしたのはただ、パジャマの上着とバスタオルを洗濯機・乾燥機に放り込んで乾いた後にたたんでしまっただけ。あとはただ枕元に座って「待機」しているのだ。「その時」に備えて。
言い換えれば「その時」を待っていることになる。泊まり込んでいるのは、単に家が遠くて万一の連絡を受けてから駆けつけても間に合わない可能性があるから。家が近ければ普通に生活をしているはずなのだ。担当医から「最期の時に間に合うかどうかは問題ではない」と言われて安堵し、納得したはずだったが、いよいよだと言われたら帰る気にはなれなかった。その結果の「待機」。
「そろそろ近いと思う」「いよいよらしい」と私に告げた人達が驚くほどに、伯母の心臓は強いらしい。身体のあちこちがむくみ、血行不良で変色してしまっているのに、伯母の血圧は正常で脈拍もしっかりしているのだ。呼吸の状態は相変わらず良くないのだが、今のところ呼吸困難の兆候はない。回復の見込みもなくただただ苦しげな呼吸を続けている伯母を見ていると、心臓が強いばかりにかえって苦痛が長引いているように思えてならない。
何もしてあげられずに座っているだけの時間に耐えられず、午前中に外出して、若干の食料と文庫本を4冊も買い込んできた。いくら何でも多すぎるかな、と思ったけどすでに2冊読み終えてしまった。1冊目の貫井俊郎「崩れる」はほどほどに、2冊目の高野和明「13階段」はメチャクチャ面白かった。新たに読み始めた3冊目と4冊目は桐野夏生「OUT」の上下巻だ。私ってばどうしてこんな時にこういう殺人ものばかり読んでるんだろうなぁ。
朝も昼も食事とはとても言えないようなモノでいいかげんに済ませたら、夕方モーレツに食欲に駆られ、しかもいつになく「肉が食べたい!」という気になって、近くで見つけたほか弁で豚の生姜焼き弁当を買った。ひとり暮らしを始めた遠い昔に、オニギリやサンドイッチはともかく、出来合いのお弁当を買うことだけはしないと決めて、今日まで守っていたんだけどなぁ。
できれば明日は一度家に帰りたい。ゆっくりお風呂に入りたい。髪を洗うぐらいは流しでできないことないけど、やっぱりねぇ。下着はスーパーで買ってきたけど、3日も同じ作務衣でいるなんて〜。それに今頃、玄関の前に置き去りにされた生協の発泡スチロールの箱の中で、こうなるとは知らずに注文した冷凍食品が〜。
伯母が必死で頑張っているというのに、私の方が先に音を上げてしまいそうだ。身体はいたって元気なんだけど、ただこうして同じ病室にいるだけで何もできない無力感と、ただ本を読んでいるだけなのに「あなたがよくしてくれるから伯母さんは幸せよ」なんてことを言われ続けることへのむずがゆさ…。