まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992004-11-04

郵便局に用があって出かけた。トレーナー1枚でちょうどいい。ようやく秋らしい心地よい気候。いつまで続くかなぁ?

幸い仕事がはけたので、まだ風邪気味なことだし、ベッドの中で本でも読もう、と横になったらいつのまにか眠ってしまった。コンタクトレンズを入れたまま。睡眠は足りてるはずなんだけど、風邪気味な身体が要求しているのかもしれない。でももうハスキーボイスじゃなくなってるから、かなり良くなっているのだろう。

今日のメインイベントは、私が住んでる区内に新しくできた劇場でのイッセーさんのお芝居。いつものひとり芝居とは趣が異なり、「夏目漱石を読む!書く!創る!」という企画物。イッセーさんの他に、スイス国立演劇学校の学生5人(♀4♂1)と、イッセーさんのオフィスのネット経由チケットシステムの考案者と引越屋さんも役者として加わり、さらに前回の桃井かおりイッセー尾形2人芝居に参加していたベーシストの岡田さんまでが役者の仲間入り。

イッセーさんが漱石を演じるのかと思ったらまったくそうではなく、イッセーさんが舞台の袖で着替えている間に、他のメンバーが学校を舞台に、留学中の漱石と坊ちゃん先生を交錯させながら、日本語とドイツ語で不思議な世界を展開させていく。学生時代にドイツ語を習った耳に覚えのある単語が飛び込んできて、文章としての意味は分からなくても何を言いたいのかは伝わってくるから不思議だ。

彼らはイッセーさんの芝居の間もステージを囲む形で舞台上に残り、イッセーさんは、赤シャツを思わせるヘンテコな教頭先生や、授業で猫の解剖をしたために左遷されるかもしれない生物の先生や、異様なハイテンションで性教育の授業を始める保健体育の女性教師や、終業式を三本締めで盛り上げようとするミョーに明るい校長先生を見事に演じ分ける。保健体育の先生が中学時代のU先生にすごく似ていて、個人的に大受けしてしまった。

学校のスキットはここまでで、その他に、段取りの悪いお祭り執行役員の話と、紙おむつが必要な老人が隣に住む老婦人の前では別人のようにシャキッとする話がつく。紙おむつを取り上げるのはある意味危険だ。原宿クエストと違って年齢層が広いから、その中に実際に外出用の紙おむつをしている人がいないとも限らない。また紙おむつというのはプライドを傷つけるらしく、うちの伯母もとても神経質になっていた。でもそこはさすがにイッセーさんで、紙おむつをした老人を単に笑いものにするのでなく、あたたかい視線が感じられた。ピシッと背筋を伸ばして老婦人を見送った後、徐々に背中が曲がってみるみるうちにいかにも老人という姿勢になり、へなへなと座り込む。そのリアルさが圧巻。

あんまりよかったので、前からほしいと思っていたDVDボックスを買ってしまった。おまけに新登場のアトムオジサンのキーホルダーまで。キーホルダーを入れてくれた紙袋は英字新聞で手作りしたもので、いろんな形に切った布が貼り付けてある。DVDボックスには消しゴム3つのオマケがついて、いろんな種類から選んだ3つを金魚すくいに使うようなひも付きのビニール袋に入れてくれた。このオフィスのこういう遊び心が好きだ。次の公演ではもうひとつのDVDボックスも買ってしまいそうだなぁ。しかも今月中に新しいDVDボックスが出るそうだし。でもイッセーさんの舞台は何度観ても飽きないからなぁ。

中途半端な時間にオニギリを2つ食べただけだったので小腹が空いて、下のレストラン街にある梅園でクリームみつ豆なんか食べてしまった。でもちょっと甘すぎた。豆寒にしておけばよかったなぁ。

原宿クエストの方がイッセーさんのひとり芝居には似合いな気がする。クエストでは恒例の開演前の縁日風のフード&ドリンクサービスも終演後のサイン会もないのはやっぱり寂しい。でも地下鉄で5分で着く場所での公演も魅力的だから、クエストとは別に、今日の劇場での公演が定着するといいなぁ。

夕べから読んでいた天童荒太著 「孤独の歌声」 を読み終わった。なかなかに読み応えがあった。最後の方は結末が分かってしまったけれど、それでも息を詰めて読ませる力がある。この作者の人を見る目は温かい。それがたとえ犯罪者であっても。

孤独の歌声