まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992004-09-08

台風が通り抜けていったと思ったら暑さがぶり返してきた。今年の天気は本当にどうかしている。

病室に入ると、伯母がしっかり目を開けて、私の動きを追っていた。表情がハッキリしている。アイスノンがないところをみると夕べの高熱は下がったのだろう。「とうとう入院からまる8ヶ月経っちゃったよ」 と声をかけると、目を大きく見開いて、「そんなに?」とハリのある声が出た。昨日ご近所の方が来てくれたことを伝え、その方が伯母に切々と話しかけていた内容を説明すると、「あの人もひとりだから」 と伯母はゆっくりそう言った。こんなに意味のある会話が成立するのは本当に久しぶりだ。昨日とはまったく別人みたい。

何人もの看護婦さんやヘルパーさんが入れ替わり立ち替わり入ってきては、「今日はしっかりしているでしょう?」「明るい顔をしているでしょう?」 などと声をかけてくれる。伯母の状態がちょっといいだけで一緒に喜んでくれる人がたくさんいるってすごい。

昨日は身体をゆすっても起きなかったのに、今日はずっと目を開いたままでいるから、「眠くないの?」ときいたら、「ちっとも」 だって。「昨日はずっと寝てたんだよ」「あらそう?」 他人事のような言い方も以前のままだ。

これなら大丈夫だろうと判断して、ナースステーションに明日はお休みするのでヨロシクと伝え、伯母にも 「あさってまた来るから」 と言って帰ろうとしたら、ずっと私の目を見て話していたのに途端にそっぽを向いてしまった。それってひょっとして、帰っちゃうと寂しいという意思表示?

そりゃあずっとそばにいてあげたい気持ちはあるけどさ、私にもそろそろメンテナンスが必要なのよ〜。

9月に入ってから仕事はまったくしていないし、睡眠時間はそれなりにとってるし、病院への往復に3時間以上かかるとはいえ、そのうち2時間の東武線はまちがいなく座れるわけだし、病院でも洗濯する以外は枕元に座ってるだけなんだから、疲れるような状況ではないはずなんだけど、泳ぎに行くような気力はないし、帰り道には足がそれこそ丸太のように重く感じられて、急げば10分かからない道のりに倍以上かかってしまう状態が続いている。プロントでボ〜ッとするだけではリセットしきれていないのが分かる。だからこの辺で一度フルリセットしないと…。

休養の必要性を痛感している反面、読書欲もむらむらとわき上がっていて、今日1日で野沢尚「深紅」 を完読してしまった。やっぱりすごい才能だなぁ、と圧倒されつつ、しばし余韻にひたる。隅々まで計算し尽されたストーリー展開に、緻密なディテールを積み上げながら読者の反応まで考慮に入れて全体を俯瞰している完璧主義者の目を感じる。その完璧主義こそが彼を死の淵へと追いつめたのかもしれないのだが…。合掌。

深紅