まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992004-07-06

9時すぎの電車で伯母の病院に向かう。強い陽射しに汗をかきながら、掃除用具を抱えて病院に着くと、伯母は開口一番、「今日は行けそうにないわ」 とのたまった。なんですと? 「無理そうだったら予定を変更してもらうから、前もって看護婦さんに連絡してもらうように言っておいたでしょう」 と言うと、「言ったわよ。今朝だけど」 ときた。思わずキレそうになる。間に合うわけないじゃんか。私だけなら構わない。リフォーム業者も商売だからよしとしよう。でもケアマネも民生委員さんも伯母のためにスケジュールをあけてくれているというのに。「半年ぶりなのに帰りたくないわけ?」 「そうじゃないけど…」 いったい何が不満なんだか。カンベンしてくれよぉ。

ナースステーションで相談したら、何日か前にまた下痢をして、パジャマから下着から汚してしまったのがひどくショックだったらしく、それ以来さらに食欲が落ちているのだという。今朝は若干、熱も出ているらしい。参ったなぁ。

「でもここのところずっとこんな調子だから、ちょっとぐらい無理してでも自宅に帰った方が元気が出るかもしれない」 という看護婦さんのアドバイスを力に伯母を説得し、なんとか行く気にさせて、気が変わらないうちにタクシーの手配。

車椅子とタクシーを併用して伯母の家に到着。民生委員さんが前もって窓を開けておいてくれたのだが、風がないのでメチャクチャ暑い。1月初めに入院した時のままだから、コタツは1年中だけどストーブまで出ているところへ、かろうじて動く年代物の扇風機を最大にして回しても熱風が渦を巻くだけ。あぢ〜っ!

さすがの伯母も 「こんなに暑いとは思わなかった」 と言い、その割には汗をかくこともなく、ゴロンと寝転んでいる。伯母をそのままにしておいて、持参したハンディモップとくるっくるワイパーで掃除にいそしむ。ウェットタイプのシート6枚が真っ黒になる頃には、冷え性の私も滝の汗。背中はべっとり、ジーパンの中を汗が伝わっていくのが分かる。気持ち悪〜い。

なんとか掃除を終えて、一段落したところへケアマネと業者が到着。伯母の機嫌をとりながら、手すりの位置や踏み台の高さを確認。他人の前で気が張っているのか、普段より足取りがしっかりしている。ひととおり説明を受けると、伯母は案の定 「予算が心配」 と言い出した。具体的な金額が分かると 「もったいないから手すりはいらない」 と言いかねないので…と、ケアマネが事前に業者に説明しておいてくれたので助かった。

見積りができ次第、来週にでも連絡がくることになったんだけど、実際の工事をする際にもう一度、確認のために伯母が立ち会うのが望ましいとのこと。外出許可はもらえるだろうけど、本人をその気にさせるのが大変なのよねぇ。

ケアマネと業者が帰った後、民生委員さんが来て、伯母の家があまりに暑いので 「ウチへおいでよ」 と誘ってくれたのだが、伯母は断ってしまった。おいおい。私が暑いんだってばっ!

伯母の家には冷たい飲み物などあるはずもないので買いに行く。といっても近くにお店なんかなく、いちばん近い自販機まで徒歩10分弱。これだからやんなっちゃう。

伯母が前からラーメンを食べたがっていたので病院の夕食は断ってきたのだが、この暑い中でラーメンはなぁ…。民生委員さんが心配して再度誘いに来てくれて、伯母がようやくその気になったので、車椅子で向かいの民生委員さんのお宅へ。はぁ、涼しい〜♪

民生委員さんのご主人の帰宅を待って、タン麺4つと餃子を注文。伯母はかろうじて3分の1ぐらい食べたけど、それ以上はなんとしても入らないと言う。胃袋が小さくなっちゃってるだろうから仕方ないか。 とってもおいしかった、と喜んでるし。

6時をすぎたので、民生委員さんのお宅にタクシーを呼び、病院に戻ると、伯母はすっかり饒舌になって同室のおばあちゃんたちや看護婦さんに報告をし始めた。「元気になったねぇ」 と看護婦さん。そうなのよねぇ。朝とは別人のように表情が明るい。無理して連れて行った甲斐はあったみたい。

留守の間にシーツ交換があったらしく、ベッドの上に敷いてあった大きなタオルが洗濯袋に入っていた。おまけに伯母が 「今日は汗をかいたから」 とパジャマを着替え始めた。この時間から洗濯ってかぁ? いくらなんでもそれはカンベンしてほしい。仕方ないから持ち帰って家で洗うことにする。

すでに7時すぎ。帰ろうとすると伯母が 「もうちょっといなさいよ」 だって。「今から帰ってもウチに着くのは9時なんだってば!」と思わず言うと、看護婦さんが 「そんなに遠いの? 信じられな〜い! エライエライ」 と私の頭をなでなで。彼女たちのこういう明るさにずいぶん救われている。

私が病室を出るとき、「今日はありがとうね。これからはちゃんと食べて点滴もちゃんとするから」 と伯母が言った。ちょっとウルッときそうになった。その言葉を忘れないように、たのむぜ、オバちゃん。

さすがに疲れて、ギリギリで電車に飛び乗って座った途端、大きな大きなため息が出た。洗濯物がふえちゃってなお重くなった荷物を抱えて、急いで帰った方が楽になるのに、足がいうことをきかない。ずっこらずっこら下駄サンダルを引きずるようにして帰宅。

ソファに寝っ転がったら最後、絶対立てなくなりそうなので、そのままバスルームへ行ってシャワーで気合いを入れる。

自分へのごほうびに買ってきたアイスでひと息ついて、さぁ仕事仕事…。