まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992004-08-26

40ページの仕事が来てしまったのに今日はあいにくアルパのレッスン。幸い時間が早くて1時からだから、伯母の病院へは別の日に行くつもりだったけど、じっくり仕事する時間を少しでも確保するために、レッスンのあと病院へ回ることにする。アルパのレッスンも病院も油絵も、ぜ〜んぶ片道1時間から1時間半かかるからなぁ。今日は三角形に回って片道1本分の節約。

大好きになって楽しく練習している 「ビーノ・ブランコ」 も、例によって先生の前ではつっかえてばかり。右手の中指と薬指が弱いのを以前から指摘されていて、今の段階で直さないとこの先さらに難しい曲は弾けないから、この2本を強化するプログラムを立ててもらった。つい曲の練習ばかりしちゃって基礎練習が足りないのよねぇ。

さて、中央線から武蔵野線を経て東武線に乗り換え、1時間40分かけて病院に到着。伯母は朦朧としていた。声をかけると、私を見て、小さな声で 「あぁ」 と反応したけど、そのまますぐに寝入ってしまう。しばらくして眼を開いても、私がいることを忘れてしまうのか、ナースステーションの方を向いたまま。声をかけても反応は少なく、ぼ〜っと天井を見ていたり、50年来の友人を連れてきたのは先週なのに、彼女はもう帰ったのかときいてきたり…。明らかに先週よりも衰えている。今日はとうとう、のり巻きの話さえ出なかった。いよいよ執着さえなくしてしまったのか…。

看護婦さんの話では、2〜3日前はしきりに 「体がだるい、重い」 と訴えていたそうで、伯母の背中から腰のあたりをさわらせてもらったら、やせこけた胴がふた周りぐらい太くなったかのように、すっかりむくんでしまっていた。夕方の検温は38度3分。おとといは9度を超えていて、それでも 「冷たいから」 と氷枕をいやがるらしい。かろうじて口をきいても、先週とは別人のように、聞き取るのがやっとのかぼそい声。すっかり面やつれして痛々しい。

「いよいよ … なのかな」 と顔なじみの看護婦さんにきくと、「うん…。はっきりしたことは言えないけど、そう遠いことではないと思う」 と彼女は言い、「意識がはっきりしているだけに、話をしていても切なくてねぇ」 と言葉をつまらせた。伯母の身体にはモニターがついていて、バイタルに異常があればナースステーションですぐに分かるようになっている。「看護婦さんとつながってるんだよね」 と彼女が伯母の手を握って言うと、伯母は弱々しい笑顔でうなずいた。

「交代して帰るときにも、気になって気になって、とみんな言ってる」 と彼女は言ってくれた。リハビリの先生も、もう立つこともできない伯母のところへ毎日訪ねて来てくれる。せめてこのまま痛みに苦しむことなく穏やかに、と、私だけじゃなく、たくさんの人が伯母のために祈ってくれている。そう思ったら切なくて、駅へ向かう途中で涙が止まらなくなってしまった。死は終わりではなく、現世からの旅立ちにすぎない、と本からの知識を自分なりに理解したつもりでいても、伯母の旅立ちを前に、私はまだ準備ができていない。

レッスン1時間、病院にいたのも1時間だけど、11時に家を出て駅に着いたのは7時頃。電車に乗ってる時間が長いからなぁ。こういう日は気持ちを切り替えないと仕事が手につかないので、時間は惜しいけど、いつものプロントでコーヒーブレイク。最近トレーニング中の呼吸法でリラックス、リラックス。

気合いを入れて仕事を始めたのは9時すぎ。幸いなことにとっても分かりやすい英文で、この分なら予定より早めに終わりそう。伯母の 「その時」 が来る前になんとかこの仕事を終わらせて、これからまた依頼があったら状況を説明して断ろうと思う。そうせざるを得ない時期に来ているようだから…。