まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

ファルスタッフ

東銀座へ。歌舞伎座ではなく東劇のほう。メトロポリタン・オペラのライブビューイング第6作の「ファルスタッフ」。人気作で上演回数が多く、これまでに様々な演出で観てきて、最後にプレミアムシアターで観たハンブルク国立歌劇場の公演では、タイトルロールを演じるアンブロージョ・マエストリがパブの店主という設定だった。今回も、本来はファルスタッフの自宅であるはずの場面がホテルのラウンジバーになっていたりはするものの、これまでになく、ファルスタッフが騎士の称号を持ち、それを誇りにしていることが強調されていて、そうした演出にミヒャエル・フォレがピッタリ。愛嬌たっぷりのアンブロージョとはまったく違う演じ方。そこが面白かった。「ウィンザーの陽気な女房たち」をもとにした作品で、その女房たちのまさに陽気な様子も楽しく、幕間のインタビューでも舞台の上と同じように楽しげに笑っていて、観ているだけで元気になりそう。ただラストで真っ白なテーブルクロスをかけた長テーブルの上を靴のままキャストが行進する場面があって、そのあとすぐに、そのテーブルの上に晩餐の支度がなされ、乾杯で幕を閉じる。靴のままテーブルに上がるのも、そのテーブルでそのまま食事をするのも、すっごく抵抗を感じてしまうのは、靴を脱ぐ文化の国で育ったからかしらん。些細なことなんだけどね。

終演後、歌舞伎座地下にある木挽町広場のタリーズに寄り、「木挽町のあだ討ち」を読み終えた。松井今朝子さんの「吉原手引草」にならったと思われる聞き書きの構成をうまく活かし、ただの謎解きに終わることなく、あだ討ちを果たした若者に対する芝居小屋界隈の人たちの温かい気持ちが読んでいてとても心地よかった。特に、寺子屋の松王丸を勤める看板役者が我が子を亡くしたばかりの小道具方に子供の切首を作らせ、見事に演じ仰せたあとで、その舞台は俺と久蔵(小道具方)の勝負だったと言い、「さすがに坊はおとっつぁんの味方だったなぁ」と述懐する場面にほろっとさせられた。

ケーキの材料を買って帰り、明後日の絵の教室用に「アーモンドプードル100%のケーキ」を焼く。レシピの倍量で、丸い型とパウンドケーキ型の2つ分。2日間かけて味がよくなじみますように。

その後、手織りの整経を始めたら、なかなかうまくいかずに何度もやり直すはめになり、NHKプラスで「アストリッドとラファエル 文書係の事件簿」を観始めてしまったこともあり、またまた朝までコースになってしまった。できれば整経を終えた織り機を手織り教室に持参したかったのに、結局、間に合わなかったのがとても残念。