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国立劇場

「伊勢音頭恋寝刃」の通し上演を観に国立劇場へ。普段、原作の全4幕のうち3幕目の油屋の場しか上演されないので、通しで観てみたかった。伊勢音頭の貢といえばこの人をおいて他にない梅玉さんの貢に、時蔵の万野、梅枝のお紺、歌昇のお鹿、莟玉のお岸、又五郎の左膳、秀調の岩次、市蔵の北六、萬太郎の林平、扇雀の万次郎ほか。

1幕目で万次郎が将軍家に献上する名刀を失い、その鑑定書である折紙までも騙り取られ、貢が左膳から刀の探索を依頼されるところまでが描かれる。通常の上演では台詞でさらっと説明されている部分。

原作の2幕目では刀の詮議の様子が描かれているものの、この場面は上演が絶えていて、今回の通し上演でも観ることができない。ただウィキペディアの解説を読んだ限りでは、あえて上演してもかえって煩雑になるだけで、省略して正解に思える。

油屋の場は、仲居たちが伊勢音頭を踊る場面がないぐらいの違いだけで、ほぼいつもどおり。

この作品は実際にあった「油屋騒動」と呼ばれる殺傷事件をもとにしていて、貢も刀の鞘が割れ図らずも万野を斬ってしまったことをきっかけに、お家横領を目論む岩次らだけでなく、仲居や他の客たちまで斬り殺してしまう。そのあと一度は切腹しようとするものの、その刀が探索していた名刀であると分かり、折紙も手に入り、これで万次郎の帰参が叶うと「めでたしめでたし」で終わってしまうことに違和感があった。大勢殺しておいてめだたしって、という違和感。

今回もこの終わり方だったのだけれど、これは4幕目を省略するための調整で、原作では貢が刀の取り違えに気付かないまま3幕目は終わり、4幕目でさらに紆余曲折の末に貢は切腹するが急所ははずれ命をとりとめ、万次郎も再登場して帰参の様子が描かれ、大団円。これを踏まえて考えると、油屋の場の最後で貢は切腹し、林平に導かれて左膳もかけつけ、貢は命をとりとめ、万次郎の帰参も叶って大団円という形のほうが華やかだしスッキリするんじゃないかなぁ。

緊急事態宣言が解除されたこともあり、1席おきでなく(最前列の空席を除き)全席販売されていて、私がいた2列めの中央ブロックは1席の空きもなくぎっしりだったものの、振り返るとビックリするほどガラガラ。全体の3割ぐらいしか入っていなかったんじゃないかしらん。なのでむしろ今までどおりの1席おきのほうが分散されて、舞台からの眺めも多少は良かったんじゃないかと思った。これだけ入が悪いとモチベーションが下がってもやむを得ないと思えるのに、舞台のクオリティが落ちることはなく、とても充実していた。それだけに、ガラガラだったのがとても残念。

左膳と料理人喜助の2役を演じた又五郎さんがまた痩せちゃったんじゃないかと心配になった。特に喜助は着物の袖も裾もたくし上げ、両手両脚があらわになるので、激ヤセぶりが一目瞭然。ご病気ではありませんように。

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