まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座

今日の歌舞伎座に備えて夕べ早寝をしたら、5時頃に自然に目が覚めてしまい、圭くんの2回戦が5時すぎにスタートで、あとでオンデマンドで観るつもりでいたけれど、せっかく起きたんだから観ちゃおう、と起きてきたのに、圭くん、右肩の痛みで棄権していた。今大会はジョコビッチナダルフェデラーも不在だから大きなチャンスだったんだけど、痛みが悪化して大きな怪我につながってしまったら大変だから、仕方がない。早く治りますように。

さて、どうしましょ。ダメ元でベッドに戻ってみたら、意外とすんなり寝付くことができ、8時すぎにあらためて起床。あいにく雨なのでバスで行くつもりで、時刻表で調べ、十分余裕を持って東銀座に着くはずが、またも勘違いで、実際に到着したのは開演5分前。こんなにギリギリになるはずじゃなかったのにー。

席についてひと息つく間もなく第一部の幕開き。猿之助の感染による休演で代役に抜擢された巳之助が「加賀見山再岩藤」で6役早替りでほぼ出ずっぱりの大奮闘。巳之助は普段は立役ばかりなのに、立役が演じることが通例となっている岩藤はともかく、奥方様もとても良かったのが収穫と言えるんじゃないかしらん。手慣れたスタッフのサポートがあってこそとはいえ、早替りの慌ただしさも見せず、余裕さえ感じさせた。素晴らしい。忠臣の帯刀を男女蔵さん、お姫様を男寅くんと、父子の共演も嬉しい。

ナイルレストランでランチ。定番のムルギーランチ。歌舞伎座地下の木挽町広場では、「くまどり丑」が第三部の「三社祭」にちなんで善悪の札を付けているのが可愛い。

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第二部は中村屋。まず「真景累ヶ淵 豊志賀の死」。七之助の豊志賀は、顔に腫れ物ができ、おどろおどろしい姿になっても美しさを失わず、新吉への恨みを募らせていく、その恨みの表現に凄みがあり、それがまた美しさを際立たせていた。鶴松の新吉は、お久との間にもうちょっと色事を匂わす雰囲気があってもよかったかな。そのお久を児太郎。噺家として喋り倒す勘九郎が怪談にほどよい笑いを加え、全体をピシッと締めているのが新吉の伯父役の扇雀。チームワークの良さが伝わってくる一幕。

次の「仇ゆめ」では鶴松が禿姿に一変し、七之助も艶やかな深雪太夫として登場。踊りの師匠を虎ノ助。深雪に恋し、踊りの師匠に化ける狸を勘九郎。最後は狸の姿に戻り、深雪の腕の中で息絶える。こういうほっこりした作品って、中村屋にぴったり。

第二部の終了後にはタリーズで時間調整。図書館で借りてきた2冊め、大島真寿美「渦」を読む。浄瑠璃作者の近松半二が主人公。関西弁での会話が主なせいか圧倒的にひらがなが多いので、これも早いうちに読み終えてしまいそう。

第三部の幕開きは「源平布引滝」より「義賢最期」。幸四郎の義賢は、見どころの襖倒しや階段落ちもさることながら、妻子への強い想いが伝わってくるのが良かった。伊達平実は多田蔵人を演じる隼人は最近、台詞にメリハリが出てきてすごく良くなってきて、可憐な米吉の待宵姫と美しいカップル。梅枝の小万は、写真でしか知らない三代目時蔵にそっくりだし、幼い太郎吉を演じる小川綜真くんはパパの歌昇をそのまま小さくしたような顔で、DNAってすごいなぁ、と感心してしまう。太郎吉は日替わりで、梅枝の息子の小川大晴くんの太郎吉も観たかったな。廣太郎はだいぶ貫禄がついて、二重あごがぷくぷくしていた。

「伊達競曲輪鞘当」の不破を歌昇、山三を隼人。歌昇は小柄なのに、堂々としていて、大きく見えるのよねぇ。二人の争いを止めに入る茶屋女房を新吾。二人とのバランスがいい。

そして最後は、染五郎と團子の「三社祭」。いやぁ、もうね、とにかく活きが良い! ピッチピチ。若さだなぁ。二人は「弥次喜多」シリーズでもコンビを組んでいるだけあって、息もぴったり。清々しい幕切れ。

終演は20時半近く。緊急事態宣言下だからって無理やり20時に終演しない決断をしてくれてありがたい。依然として1席ずつ空けているので興行的には大変なんだろうなぁ。早く大向うも入って盛り上がる平常の日々が戻ってきますように。