まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座 夜の部

東銀座の駅を出て歌舞伎座の入り口に向かう途中に大きなポスターが貼られていた。

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あまりよく撮れていないけど、三人吉三なのに4人いて、「お嬢吉三」が二人。ああ、また日替わりでAプロBプロに分かれているのか、とげんなり。最近やたらと多いのよねぇ。チケットを購入するときによく調べるべきなんだけど、毎月の予約手続がもうルーティーンになっているから、ついチェックを怠ってしまう。

松也には悪いけど、梅枝ならいいな、と思いながらお嬢の出を待つ。願いが叶い、今日は梅枝のお嬢だった。

松緑はまた少し太ったのかしら。二重顎でぷくぷくだったけど、それが兄貴分の和尚の役には貫禄になっていた。ただ、風邪でも引いたのか喉の調子が悪そうで、声が時折りかすれていた。連日の舞台を務めながら体調を維持するのって大変よねぇ。

登場人物が次々に因果の鎖でつながって、世間ってそんなに狭いかぁ? と思わないでもないけども、そこが芝居の妙。松緑愛之助、梅枝のバランスがよく、いぶし銀のような歌六の存在で舞台がぐっと締まる。

双子の兄妹と知らずに相愛になってしまう若い二人を巳之助と右近。この二人を畜生道に落ちたとして兄の和尚が殺そうとする。そのときの二人の衣装が犬のブチを思わせる模様で、犬の真似のような仕草で命乞いをする。この場面がどうも好きになれないのよねぇ。兄妹だとは知らないままの二人に罪はないのに。しかも、この二人の首をお坊とお嬢の身代わりにするはずだったのに、結局、和尚もお坊もお嬢も縄にかかることになり、若い二人の死が報われないんだもの。

梅枝のお嬢はやはり良かった。もともと女形の人がやるほうが、娘姿のまま男の声で芝居をするときに新鮮味があるのよね。お坊とお嬢との間にBLのような雰囲気が漂う場面もあり、愛之助と梅枝のコンビはそうした場面でも、BLのようでもあり男女のようでもあり、その危うさがいいの。

若いエネルギーがぶつかり合う「三人吉三巴白浪」のあとに、若菜を摘む娘に静御前の霊が乗り移り、神職の前で舞を披露する能仕立ての舞踊「二人静」。玉三郎静御前、児太郎の若菜摘、彦三郎の神職。美しいけれど、能仕立てだから動きが少なくて、どうしても地味に感じてしまう。でも玉さん、能仕立てがお気に入りみたいだからなぁ。