今日もまずはウィーン国立歌劇場の配信。ベッリーニのオペラ「清教徒」。MET のライブビューイングがスタートしたのが2006-2007シーズンからで、その2番めに公開されたのがこの作品。私が観始めたのは2009-2010シーズン6番めの「カルメン」からで、それ以前の作品は東劇でのアンコール上映やテレビでの放映で、そのどちらにも含まれていなかった「プッチーニ三部作」以外のすべてをカバーしている。「清教徒」は音楽祭等での上演を目にする機会もなく、MET版ではネトレプコが主演だったことぐらいしか記憶になかった。
清教徒革命のさなか、議会派司令官の娘エルヴィーラが愛する騎士アルトゥーロとの結婚式の直前、処刑の決まった王妃を助けようとアルトゥーロが王妃と逃亡してしまい、ショックで正気を失ってしまう。これが一幕の後半で、ここから三幕の後半までずっと狂乱したままという大変な役。最後にアルトゥーロが戻りハッピーエンドかと思いきや、歌詞は二人を祝福しているのに、彼女に横恋慕している副司令官リッカルドがアルトゥーロを殺害。エルヴィーラが横たわる彼に折り重なるようにして幕。この悲劇的な部分が歌詞には一切出てこない。結婚式を控えた幸せから狂乱へ、そして再会の喜びもつかの間の死別。可哀想すぎる~!
そんなエルヴィーラを演じるのは「愛の妙薬」での麗しい演技が記憶に新しいオルガ・ペレチャッコ、ジョン・テシェールのアルトゥーロ、カルロス・アルバレスのリッカルド、エルヴィーラの父はソリン・コリバン、叔父はパク・ヨンミン、イルセイヤー・カイルロヴァの王妃という配役で、指揮はおなじみのマルコ・アルミリアート。
オペラ鑑賞のあとは斎藤さんの OTTAVA Andanteを途中から。今夜はスーパームーンで、5月のスーパームーンをフラワームーンという、との話題が出ていた。それで夜にベランダから月を見上げてみたのだけれど、普段の月を横に並べてくれないと大きさを比較できなーい。一応スマホで撮ってみたけど、スマホではこれが限界。目ではもっと克明に見えるのにねぇ。
夜には、YouTube で「12人の優しい日本人を読む会」の前・後編を一気見。日本で裁判員制度による最初の公判がスタートしたのは2009年8月のことで、それより20年近く前に「日本での陪審裁判」を仮定して初演された三谷幸喜さん原作の作品。映画版は何度か観ているのだけれど、舞台のほうは残念ながら観たことがなかった。過去の上演時のキャストをできる限り集め、時節柄リモートで朗読劇として行われた今回の上演。面白かったなぁ。リハーサルでは途中で宅配の人が来ちゃったり、通信が途絶えたりしたそうで、「グダグダになっても最後までやり通す」ことを目標に本番がスタート。三谷さんも「ちゃんとやってね!」と始まる前にコメントしていた。それがいざ始まったらグダグダどころか素晴らしい熱演。皆さんさすがだわー。チームワークもピッタリだった12人は、陪審員の番号順に(敬称略)、甲本雅裕、相島一之、小林隆、阿南健治、吉田羊、近藤芳正、梶原善、妻鹿ありさ、西村まさ彦、宮地雅子、野仲イサオ、渡部朋彦、そのほか小原雅人(守衛)、一橋壮太朗(ピザ配達人)の出演。ブラボー! 映画版もまた観たくなっちゃったなぁ。