まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

三谷かぶき

歌舞伎座の夜の部に行く前に、いきなりステーキで遅いランチを、と思ったら、近所に2件ある店舗のうち路面店のほうが閉まっていて、営業休止の貼り紙。アリオの中の店舗に移動し、キャンペーンで増量中のワイルドステーキが来る前にスマホで調べたら、路面店のほうはなんと数日前に店内で出火したのだそうな。清掃中に油に引火したらしく、幸い大事には至らず、客のいない時間帯で従業員にも怪我はなかったとのこと。ビックリ。

六月大歌舞伎の夜の部は、伊勢から江戸に荷を運ぶ途中で船が難破してロシアに流れ着き、約十年後にようやく帰国を果たした大黒屋光太夫の史実をもとにした、みなもと太郎の漫画「風雲児たち」を原作とした三谷幸喜の作・演出による新作歌舞伎「月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)」。

三谷かぶきは、以前パルコで上演された「決闘! 高田馬場」に続く第二弾。前評判が高く、また八嶋智人が出演することでも話題になっていた。

串田さん、野田さん、クドカンさんと、様々な人が新作歌舞伎を手がけていて、彼らの本来のフィールドと歌舞伎との折り合いをどうつけるかで評価が分かれてきたように思うんだけど、一方で、じゃあ歌舞伎ってなんなの? 何がどうなっていれば歌舞伎なの? とあらためて問われると、明確に答えるのは難しい。今回の三谷かぶきは、弥次喜多のようなドタバタに近いコミカルなものを想像していたら大違いで、船員たちが次々に病に倒れていく中で、何があっても日本に帰るんだという強い想いが大筋としてどっしりとあり、帰国を果たせなかった者たちの無念さが胸にしみる場面が繰り返し訪れ、その都度、目頭が熱くなるドラマチックな舞台に仕上がっていた。もちろん笑える場面もたくさんあって、唯一、幸四郎の光太夫アグリッピーナの容姿を「中の下」と連呼する場面は、アグリッピーナを演じる高麗蔵が特に滑稽なメイクをしていたわけでもないので、高麗蔵に対しても失礼だし、笑う気になれなかったんだけど、その他のコミカルな場面はどれも三谷さんらしく、客席も大いにわいていた。

八嶋智人は、もう何度も歌舞伎座の舞台を経験しているかのように自在に、エネルギッシュに動き回って、声もよく通るし、さすが舞台人。寿猿・竹三郎の合計175歳のカップルがドレス姿で繰り広げるダンスシーンも微笑ましい。

それぞれに熱演だった船員たちのうち、純朴な小市を演じた男女蔵が素晴らしく、大喝采を受けていた。洗礼を受けてロシアに残ることになった猿之助愛之助が光太夫に別れを告げる場面は、抑えきれない感情の爆発に、涙腺結界。

もっともっと書きたいことがあるけど、書ききれないのでひとまずこれまで (^^ゞ

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