まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座 第一部

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八月納涼歌舞伎は三部制。2日に分けると一部だけの日はあっけなく物足りなく感じてしまうので、通しで。

昨日も来たばかりだったりするけども、今日は昨日より気温が低く過ごしやすそうなので、昨日の真っ白なインド綿のブラウスから、ダブルガーゼでちょっと厚手のモーヴ色のワンピに替えてみた。左の写真は昨日のもので、今日は残念ながら曇り空。

第一部の初めは「伽羅先代萩」。七之助の政岡に、甥っ子兄弟の勘太郎が千松を、長三郎が鶴千代を演じる。ほぼこの三人だけで芝居が進む前半は、普段どちらかというと退屈に感じがちなんだけど、今回そうじゃなかったのは兄弟のお手柄かな。若君毒殺の謀略があリ、周囲が敵ばかりの中、食事の支度もままならないので、若君も毒見役の千松も空腹で、千松は自力で立ち上がるのも難しいほど弱っている。乳母が手づから作る食事も、ごく小さな握り飯と汁椀だけ。育ち盛りなのにこんな食事で … なんてこと、普段はあまり思わないのに、なんかもう、二人を見ていると切ないやらいじらしいやら。

七之助の政岡は、玉三郎の政岡と歌右衛門の政岡を足して2で割ったよう。ふとうつむいたときの表情に父勘三郎が重なり、驚いた。日頃それほど似ていると感じたことがなかったから。そうかと思うと、祖父芝翫の面影ものぞく。DNAってすごい。

八汐と仁木弾正の二役を幸四郎。八汐が千松の胸に突き立てた懐剣をわざと何度もえぐる場面では、「もうやめてあげて…」と本当に刺さっているわけじゃないと分かっているのに思うぐらい、憎々しい敵役になっていた。扇雀の栄御前、児太郎の沖の井、巳之助の男之助もそれぞれにとても良かった。

演出面でいうと、栄御前が人払いをしたときに沖の井が若君を連れて入るやり方もあって、それだと前半で沖の井が持参した膳を食べさせなかったのに易々と若君を託しちゃうの? と疑問がわくのだけれど、今回は政岡が自ら若君を連れて入ってから戻ってくるやり方なのがよかった。ただ、謀略に八汐が加担しているのは明らかだから、わざわざ小槇が出てきて八汐の悪事を暴露する必要はなかったような。

やたらと長く感じて、気を抜くと意識が飛んでしまいがちな演目のひとつなんだけど、今日の舞台は良かったなぁ。

重い時代物のあとに、お化けがたくさん出てくるユーモラスな「闇梅百物語」。拵えがそれぞれにこりすぎていて、彌十郎の狸と一緒に出てくる唐傘お化けと河童が最後まで誰だか分からなかった。筋書を買わなくなって久しいので、舞台写真の売り場でチェック。写真の番号順に役者名がリストになっているので助かる。唐傘は歌昇で河童は種之助かぁ。分かってもまだ信じられない。

これにて第一部は終了。15時からの第二部まで50分。2階のロビーで英文の下読みをして過ごす。