まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992014-10-22

朝から雨。しかも気温がぐっと下がって、「暖かくしてお出かけ下さい」と天気予報のお姉さん。ううむ。着ていくものにさんざん迷い、ニットのアンサンブルの上に防寒をかねて薄手のレインコートを羽織って家を出る。それでも肌寒いぐらいで、ストールを巻いて出たのが大正解。

今月の歌舞伎座は、十七代目勘三郎の二十七回忌と十八代目勘三郎の三回忌追善。ロビーには十八代目が笑顔で合掌している写真が飾られていて、思わず目を背けてしまった。いまだに受け入れられないでいるのを痛感。普通の笑顔だけの写真にしてほしかったなぁ。

夜の部は「寺子屋」で始まり、勘九郎の源蔵に七之助の戸波。仁玉の名コンビが松王夫婦で兄弟を支える。勘九朗の生真面目さがプラスに作用し、いい緊張感。いろは送りの場面で、扇雀の園生の前が若君の手を取って焼香の手助けをしていたのがいつになく目について、印象的だった。

ガラリと雰囲気が変わって華やかな「吉野山」。藤十郎静御前梅玉の忠信。円熟。橋之助の藤太はちょっと違和感。幕切れに忠信が藤太に投げた笠が大きく逸れ、高く飛ばずにゴロになって舞台上を上手に消えて行った。

「鰯売恋曳網」は、勘三郎ならではの愛嬌たっぷりの猿源氏がなんとも楽しい一幕で、玉三郎の蛍火との相性もバッチリだったから、その二人の配役以外は考えられなくて、今回、追善として上演されることに抵抗すら感じていた。いつまでもこんなじゃいけないと思いながらも、ダメなのね、まだ。そして案の定、幕切れが近づくにつれて切なさが募り、ちょっと目頭が熱くなっちゃった。もし蛍火が七之助じゃなく玉三郎だったら、もっと泣いちゃっていたかも。

かなり右寄りとはいえ最前列だったんだけど、左隣りの女性が和服だったにもかかわらず、「鰯売」の時には、椅子の背もたれを枕に座席から大きくずり落ちるような姿勢になったのでビックリ。居眠りしているのかと思いきや、目はしっかり開いて舞台を見てる。自宅のソファじゃないんだから。洋服だってしない格好を和服でなんて。しまいには脚が開いて長襦袢が丸見え。あり得ない。しかもこの人、終演後にさっさといなくなったんだけど、椅子の下に置き忘れたビニール傘を取りに戻って、傘より手前に転がっていた自分が飲んだコーヒーの空き缶が目に入らないはずはないのに、そのままにして帰ってしまった。信じられなーい!