パルテノン大通りにて

またまた暑さで目が覚めた。７時過ぎ。窓を開けても風がまったく入ってこない。かといって閉めればもっと暑い。でも通路を通る人の目も気になる。それならば、と泊りがけのお客様をお迎えする時のように和室にマットレスを敷いて寝てみた。意外と気持ちいいかも。でもベッドから出てああだこうだと動いたせいか、もう一度眠ることはできなかった。これからの季節、安眠確保が大きな課題になりそう。

朝からキッチンに立ち、昨日パスせざるを得なかった夏野菜のオーブン焼きを作る。ただザクザクと野菜を切って、耐熱皿に並べてオリーブオイルをかけて焼くだけなんだけど、余熱しているだけでも暑い〜。焼き時間が結構かかるので、朝食はシリアルで簡単に。あ、そうそう、夕べ作っておいた水出しアイスコーヒー。う〜ん、美味しいぞぉ！　ホットもアイスもこれだけ美味しく作れるようになるなんて、プロントに行く必要がなくなっちゃうな。

昨日以上に暑いと思ったら、室温計が３４度を差していた。ひょ〜っ。さすがにガマンできずにエアコンを入れる。大手町では３６度だって。異常だ。絶対に異常だ。今からこんなに暑かったら、７月８月はどうなっちゃうんだか。

仕事がようやくはけたので、更新が延び延びになっていたミーハー芝居帖に、６月歌舞伎座昼の部、夜の部とコクーン歌舞伎を一気にアップ。それぞれに書きたいことはたくさんあるのに、なかなかうまい言葉が見つからず、ちっともはかどらない。３日分を更新するのに３時間近くかかってしまった。とはいえ苦しいながらも楽しい作業だったりするんだな、これが。

やっと肩の荷が降りた気分で、今日はめずらしいところへ出かける。パルテノン多摩で、な〜んと美輪明宏さんの音楽会。「オーラの泉」 という番組が始まって美輪さんへの興味が高まっているところへ、生協のチケットカタログに載っていて、ひょっと気が向いて応募したら抽籤に当たったんである。多摩センターなんて、と〜んでもなく遠いような気がしていたのに、常磐線が千代田線に乗り入れ、さらに小田急線に乗り入れているので、意外にも乗り換えいらずで一直線。

後ろから数えた方が早いような席だったけれど、美輪さんの声はささやきすらもハッキリと通る。第一部は、日本語の美しさや四季の素晴らしさを表現する日本の歌。第二部は、シャンソンをはじめとする外国の歌。あっという間に過ぎた２時間余りの感想を書くのはとっても難しい。表現しようがないんだもの。歌唱力なんていう言葉は通用しないというか、意味がない気さえする。歌であって歌ではなく、語りとも違い、ドラマと言った方が近い。感情や思考を飛び越えて、ダイレクトに突き刺さってくる感じ。いやぁ、すごかった。アンコールの 「愛の賛歌」 は、越路吹雪でヒットしたバージョンはエディットピアフ作の原詩と大幅に異なるそうで、本来の内容をドラマチックに説明した上で、この曲のみフランス語で歌い上げる （他は全部日本語）。フランス語自体はまったく分からないのに、急に鳥肌が立つと同時に涙ぐみそうになってビックリ。感じ入ったあまりにそうなったわけではなく、美輪さんの声に身体中の細胞が勝手に反応したと言った方がいい。それはとっても異様な、それでいてやけに心地のよい、なんとも不可解な体験。少なくともコクーン歌舞伎よりは魂に届いたわけで、そのことにあらためて驚いてしまった。

帰りも一直線でビューンと約１時間。当然、窓を閉め切って出かけたから、家に着いたらムッと熱気。すでに１１時近いのに室温計はまだ３４度。窓を開けても風はなく、それどころか外気もそれほど下がっていない。ほとんど温室の中にいるような状態なので、こんな時間に … と思いながらもエアコンを入れる。本当にこれから先が思いやられるなぁ。

すぐには温度が下がらない中、またしてもオーブンを使ってプリンケーキを焼く。あれ？　１８ｃｍの丸いケーキ型はどこ？　あれれれれ？　どこを探してもない！　おかしいなぁ。Ｉ さんのところに忘れてきたかなぁ？　そんなはずないんだけどぉ。仕方がないので同じサイズの深い耐熱皿で代用する。もう夜中なのに暑すぎ〜！