まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

トゥーランドット

先週の金曜日からメトロポリタン・オペラのライブビューイング「トゥーランドット」が始まっていて、人気の作品だから週末は混んでいそうなので、月曜日の今日、昼間の上映分を予約しておいた。

今シーズン8作目。すでに秋からの来シーズンのラインアップも発表されていて、開幕前にその説明もあった。10作品のうち世界初演が1つ、MET初演が2つ、新演出が4つ。てことは従来どおりに上演されるのは3つだけ。意欲的だなぁ。

今回の「トゥーランドット」は当初、ロシアのアンナ・ネトレプコがタイトルロールに予定されていたところ、ウクライナ情勢の影響で降板し、代役はウクライナ出身のリュドミラ・モナスティルスカ。前半はやや声量が足りないように思ったけど、後半に向けてどんどんパワフルになっていった。カーテンコールの後半、彼女がひとりで登場するときにはウクライナの国旗をマントのようにまとい、客席の歓声は最高潮。場内にも何箇所か国旗が飾られていて、小さな国旗を手で振っている人もいた。芸術の世界にあまり政治を持ち込んでほしくないという思いもないことはないけれど、情勢が情勢だけに仕方がないのかな。

カラフ役はヨンフン・リーで、インタビューの中で命を賭けてまでトゥーランドット姫を手に入れようとする理由を問われ、まだ他の誰も成し遂げていないから、と答えていたのが面白かった。単に一目惚れしたからじゃないのね。歌いながら、特に声を張るときに同じポーズになりがちなのが気になったのと、「誰も寝てはならぬ」の最後の最後で普通は聞かせどころとばかりに長く伸ばすのに、やけに短くプツンと切ってしまったのがもったいないと思った。

カラフのために自ら犠牲になるリューはその健気さが愛される役で、今回演じたのはエルモネラ・ヤホ。毎回、中央アジア風の衣装も素敵なのよねぇ。

そしてカラフの父であるティムールを演じたのがフェルッチョ・フルラネット! 本人がインタビューで語っていたとおり有名なアリアはない役なのに、リューを喪ったあとの嘆きの場面で、何度も観ているのにいつも以上に心が震えた。素晴らしかった。

ゼフィレッリ演出の見事な舞台装置といい、プッチーニの独特な東洋風の音楽といい、これぞオペラという象徴的な作品。ライブビューイングでは、その舞台装置を組み立てる様子も見せてくれるのが嬉しいところ。

帰りに北千住でルミネに寄り、「おぼんdeごはん」で銀鮭の甘酒塩麹漬け& 牛肉の七味醤油麹炒め定食。赤い器の中にはお豆腐の胡麻ドレッシング和え。美味しかった ♬

夜には「世界ふれあい街歩き」で、イッセー尾形さんのナレーションで、2019年に訪欧されたウクライナキエフ(当時)の回をただ再放送するのでなく、映像に出てきた場所やインタビューに応じてくれた人たちの現在の様子も伝えていた。本当に、早くどうにか人々の安全を確保してほしいと願うばかりだけれど、こうして安全な場所にいる私たちがただ願うだけじゃなんの役にも立たないんだろうなぁ…。

…と複雑な思いに沈んだ後、続いて放送されたのが SONGS の慎吾くんの回(再放送)。最初の放送は途中からしか見られなかったから、再放送に感謝。大泉洋&慎吾くんのトークが面白すぎて、その前の番組とのギャップがまたなんとも。