歌舞伎のお仲間と総勢9人で浅草ツアー♪
うらめしいぐらいに晴れ渡ってジリジリと照りつける猛暑の中、ラクチンな二部式着物に素足でいつもの下駄という略式の格好で待ち合わせ場所の雷門へ。お暑うございますぅ。まずは仲見世の帯源さんへ。
最近は歌舞伎より落語に夢中だという若旦那にお話を伺う。絹織物も今では絹そのものが国産ではとても足りず、ほとんどが中国産の上、機織のできる職人さんも年々減少しているとのこと。確かに、各地の様々な織物もそれぞれに原材料や職人さんが危機的状況にあり、「手に入るのは今だけ」 と着物のお店でもよく言われる。博多の献上帯はまだメジャーだし、役者さん御用達の舞台に欠かせない存在でもあるから確実に残っていくだろうけれど、マイナーながら細々と続いてきた各地の織物はいずれ本当になくなってしまうのだろうなぁ。歌舞伎好きの集まりだけに、成田屋の柄 「かまわぬ」 に飛びついてパチリ。
伝法院通りから合羽橋の方へと抜けて、昼食は 「飯田屋」 のどぜう鍋。まずは乾杯。真夏のそぞろ歩きで乾いた喉に、冷たい生ビールがきくぅ。ドジョウが苦手な人には親子丼のオプションもあり、昼間っから冷酒をクイクイやりながら、グツグツ煮えた鍋にたっぷりネギをのせ、山椒の風味を添えて頂く。臭みなんてまったくなくて、トロトロのふわふわ。美味しい〜!
満腹のお腹を抱えてテプコ浅草館に立ち寄り、昭和の浅草を再現した街並みを楽しむ。レトロな空間は情緒たっぷり。時間が許せば催し物の金銀すなご絵の体験もやってみたかった〜。六区を抜けて花やしきの前を通り、いざ、藤波小道具へ!
様々な道具が山積みの入口を目の前にしただけでもうワクワクしちゃうのに、わざわざ一室を用意し、実際に舞台で使用する刀や印籠、キセルや煙草入れなど、貴重な道具を並べたその前で、社長さんが自ら懇切丁寧な解説をして下さるという、思いもよらなかった貴重な体験。猿若町の歴史や十一代目の團十郎をはじめとする様々な役者たちの逸話など、お話だけでも十分に楽しくありがたいのに、目の前の道具に自由にさわっていいという、ああもう、たまらない〜!!! 助六の傘をこの手に持たせてもらった時にはもう感激のあまり涙が出ちゃいそうだった。 さらに戦火をくぐり抜けて残った蔵にまで案内してもらい、まさに夢のようなひと時。しかしここでも、帯源さんに続いて、後継者問題の厳しい現実。歌舞伎の道具はそれこそ無数に種類があって、そのそれぞれにかけがえのない技術を持った職人がいる。その全員の生活を藤波小道具という一私企業が支えていくなんてことはもとより不可能。でも生活が成り立っていかなければ職人たちは作業を続けていくことができない。国の助成はゼロではないにしても焼け石に水。どんなに大事に使っても、毎月連日の舞台で道具は傷む。それを修復できる職人たちがどんどん減っていく。既存の道具の修復だけでなく、新しい道具も必要だというのに。その厳しい現実。
待乳山の聖天さまにお参り。参道を見上げた時点で案じたとおり、右足の甲に1箇所、左足の甲に3箇所、右の手のひらにも1箇所、たちまち蚊に食われてしまい、かゆいかゆいかゆい〜っ!!! よっぽど血が美味しいのか、すぐに食われちゃうのよねぇ。何人かいても真っ先に。
さて、そろそろ夕食の時間。隠れ家のような 「和えん亭 吉幸」 は、オーナーが自ら津軽三味線を聴かせてくれる素敵なお店。ぜいたくなことに、カウンターにおひとりの男性客以外は貸切状態で、その方も三味線のライブが終わった時点で帰ってしまい、後は私たちだけ。歌舞伎談義ににぎやかな花が咲く。團十郎そっくりのマトリョーシカという手作りの傑作も飛び出し、大絶賛の嵐。料理はどれも美味しいし、お店のスタッフも常に笑顔でさわやかだし、本当に素敵なお店。ぜひまた行きたい!
二次会は神谷バーをめざしたのだけれど、あいにく9人分の席はなく、近くの和民へ。ここでさらに歌舞伎談義で盛り上がり、11時近くまで。お昼の待ち合わせからほぼ半日。実にディープで有意義で美味しくて楽しい最高のツアー! 本来なら今日は油絵の教室で、私は 「吉幸」 からの参加となるはずだったのに、たまたま教室がお休みになったおかげでフルで参加できたのだった。一方、どうしても都合のつかなかったメンバーも2人。自分が参加できた幸運を思うにつれ、全員参加できなかったことが本当に残念。次回はぜひフルメンバーで!
お風呂上がりにもしパワーが残っていたら少しでも仕事をするつもりでいたのだけれど、さすがに力尽きました〜。