まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

ドン・カルロス

先週の金曜日から上映が始まっていたメトロポリタン・オペラのライブビューイング「ドン・カルロス」。このところ変な時間にやたらと眠くなってしまうことが多かったので、十分に睡眠をとって寝落ちのリスクがないときに、と思うとなかなか観に行くことができずにいたのだけれど、今日は11時近くにゆっくり起きて、ホットヨガに行こうかなぁ、いやMETでしょ、てことでネットで13時からの上映を予約。それから15分ぐらいで急いで支度をし、家を出た。

東銀座に移動し、ジュー・ザ・バーガーで腹ごしらえ。ポテトなどのサイドメニューまでゆっくり食べている時間はないので、アボカドチーズバーガーを単品で、コーヒーも最後は一気に飲み干せるようにアイスコーヒー。

普段はイタリア語で上演されることが多く、その場合はタイトルもイタリア式に「ドン・カルロ」。今回はフランス語での上演のため「ドン・カルロス」。もともとヴェルディはフランス語で作曲しているため、フランス語のほうが音楽になじみがいいとインタビューで歌手たちが異口同音に語っていた。イタリア語もフランス語もよく分からない私には違いが把握できなかったけど、4時間超えの長いオペラで、これまでイタリア語で覚えていた歌詞をまるごとフランス語で覚え直し、感情を込めて歌い上げるというのは簡単じゃないはず。

マシュー・ポレンザーニのタイトルロールにソーニャ・ヨンチェヴァのエリザベート、エリック・オーウェンズのフィリップ2世にエティエンヌ・デュピュイのロドリーグ、ジェイミー・バートンのエボリ公女にジョン・レリエの大審問官。

フランスの王女エリザベートはスペインの王子ドン・カルロスと婚約していたのに、彼の父フィリップ2世との結婚が宣言され、両国の和睦のためにこれを受け入れる。その時点で彼女は王女の義務として王子への想いを断ち切り前を向こうとしているのに、彼女を失った悲しみから立ち直ることができず、破滅に向かって行く王子。父王も、妻が自分を愛していないことに苦悩する。そもそも最初の約束通り王子と王女が結婚していれば、両国の和睦も実現し、めでたしめでたしだったのにねぇ。結婚の経緯は史実で、王女と王子が相思相愛であったというのは作劇上のフィクションで、王女と父王との間には二人の娘も生まれ、夫婦仲は良かったという。

他にもフランドルの解放という政治上の問題や、王ですら抗うことができない大審問官の強大な権力など、様々な要素が絡み合い、さらに王子が自分を愛していると勘違いするエボリ公女が物語をさらに複雑にする。

これまでにイタリア版を何度も観ている作品ながら、エリザベートの王女/王妃としての毅然とした態度とその心情がグダグダな王子との対比で際立って見え、今までで一番深く共感できた気がする。音楽や歌唱の素晴らしさは言わずもがなで、2度の休憩をはさんで5時間近い長丁場でも、睡魔が近寄る隙きもなかった。

指揮者はヤニック・ネゼ=セガンの体調不良でパトリック・フラーに変更。エボリ公女は当初エリーナ・ガランチャと発表されていたのが早い時期に降板。ジェイミー・バートンもとても良かったけれど、全く別のキャラクターのようだったなぁ。

18時近い終演後、有楽町まで歩き、交通会館に寄る。土曜日にニャンドゥティの先生に頂いた秋田のお菓子がとても美味しくて、交通会館で買えると聞いたものだから、各県のアンテナショップが並ぶ中、秋田県のショップに直行。目当てのお菓子をゲットしたあと、富山県のショップで「昆布パン」も買い、他県のショップにも誘惑されそうになりつつスルーして帰宅。

帰りの電車は通勤・通学の帰宅時間と重なり、久しぶりの押しくら饅頭。昔はこんなふうに混雑する電車に乗るのが当たり前だったけど、今はめったにないからねぇ。近くのオジサンが押されるたびに両肘を張って横に振り、自分の周辺にスペースを確保しようとしていて、やな感じ。混んでいるときは仕方ないのにねぇ。