メトロポリタン・オペラの今シーズン8作目「つばめ」は東劇だけ2週間の上映期間にギリギリセーフだったので、今シーズン最終作の「蝶々夫人」は早めに観に行こう、と今日の午後の回を予約しておいた。
正直、好きな作品ではない。長崎が舞台なのに、装置はともかく衣裳がやたらとド派手だし、文楽人形の扱いも雑(というか形ばかり)だし、なにかこう「ちがーう!」と叫びたくなっちゃうものだから。ただ今回は、幕間のインタビューに衣裳を担当した中国人の女性デザイナーが自ら、中国で縁起が良いとされる牡丹をストライプに合わせたり、紙の鬘に花を飾ったりとあえて豪華にし、初演時に「日本人はあんな着物を着ない」と面と向かって言われたけれど「空想・創造の世界だから」と言い返し、演出家も大喜びしてくれたから満足していると笑いながら語っていて、全体的に中国風なのも、日本的にする意図が最初からないんじゃ仕方ないか、とある意味、納得。
ゴローとスズキはほぼ毎回、同じ人が演じているんじゃないかしらん。特にエリザベス・ドゥショングのスズキは、蝶々さんへの想いが伝わってきて素晴らしい。ひどい男、ピンカートンを演じるのは、前作「つばめ」でも主人公の恋人役だったジョナサン・テテルマン。そしてそして、アスミック・グレゴリアンの蝶々さん! いやぁ、苦手なこの作品で涙する日が来るとは思わなかった。悲劇の結末まですべて分かっているのに、こんなにも凛としていながらいじらしく切なく、守ってあげたいと思わせる蝶々さんは初めて。ただただ圧巻。素晴らしかった。
どこにも寄らずにまっすぐ帰宅し、ひと息ついてから、今度はウィーン国立歌劇場の無料配信で「コジ・ファン・トゥッテ」を観る。昨日の深夜から配信がスタートしていて、いつまで視聴できるか分からないから、早く観ないと見逃しちゃう。
ドン・アルフォンソがオペラの演出家で、男女2組はいずれも若いオペラ歌手。すったもんだの末に、最後には脚本を叩きつけて去ってしまうというユニークなアレンジ。クリストファー・モルトマンのアルフォンソ、その助手として様々に変身しながら奔走するデスピーナをケイト・リンジー、2組のカップルをフェデリカ・ロンバルディ、エミリー・ダンジェロ、ピーター・ケルナー、フィリッペ・ナヌ。「コジ・ファン・トゥッテ」というタイトル自体が「女はみんなこうしたもの」という意味で、なんかこう、女性が馬鹿にされているようで、これもあまり好きな作品じゃないんだけど、歌唱も演技もブラボーだった。
オペラ2本立てのあとに「星野源のオールナイトニッポン」。ついリアルタイムで聴いてしまう。早く寝ないといけないのにー。