まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

六月大歌舞伎

今月は萬屋一門の襲名披露で、時蔵が初代萬壽に、梅枝が6代目の時蔵に、息子の大晴くんが5代目の梅枝になり、これまで本名の小川姓で出ていた獅童の二人の息子がそれぞれ中村陽喜、中村夏幹としての初舞台。

昼の部では「妹背山婦女庭訓」の「三笠山御殿の場」で仁左衛門が劇中の口上で新時蔵・新梅枝の襲名を披露し、夜の部では「山姥」の劇中で菊五郎が6人全員の襲名を披露。大晴くん8歳、陽喜くん6歳、夏幹くん3歳。まだ小さくてただただ可愛らしい。でも3人とも、口上だけでなく自分の役もしっかり勤め、もうちゃんとした「歌舞伎役者」なのよねぇ。そこがすごい。

昼の部最初の「上州土産百両首」は上演回数が少ない人情物。幼馴染の弟分を演じる菊之助が今月この1役だけなのはもったいない気がした。兄貴分を獅童、スリから板前に転身して真っ当に生きようとする彼の前に立ちはだかる昔の悪い仲間を隼人。偶然の再会が運命を変えてしまう。現実の世界でも似たようなことがありそう。

2つ目は「義経千本桜」をもとにした舞踊「時鳥花有里」。又五郎義経と孝太郎の白拍子を軸に、児太郎、染五郎、種之助、米吉、左近と若手5人が加わり華やかな一幕。

その後が「三笠山御殿」で、新時蔵のお三輪は生々しいほど感情が伝わってきて、まさにはまり役と言っていい。美しい官女たちが七之助が演じる姫を迎えたあと、お三輪をいたぶる「いじめの官女」は襲名とあって歌六又五郎錦之助獅童歌昇、萬太郎、種之助、隼人と豪華版。それぞれにキャラが濃いから、この場面やたらと面白くなってしまい、お三輪の哀れさが薄れてしまった感もあるけれど、その前後がたっぷりだから、まぁ、よろしいかと。お三輪を殺してしまう鱶七を演じるのは、プライベートでも仲が良い松緑。充実した披露狂言だったなぁ。

昼の部の終了後、急いで木挽町広場に降りると、タリーズの店内は満席だったけれど外のベンチに席を確保することができ、しばし読書、のつもりが新件の依頼が入り、メールでやり取りを経て受注が確定した頃にはもう開場時間。

夜の部は「八犬伝」で始まる。と言っても八犬士が顔を揃えるだけの丸山塚の場面。道節を演じる歌昇が幕外の引っ込み。巳之助の現八がひときわ大きく見えた。

その次が「山姥」で、萬壽がたっぷりと踊りを披露し、新梅枝は大人たちを相手に立廻り。長い場面をしっかり手順を覚え、堂々としていて立派だった。

最後は「魚屋宗五郎」。その前に北野武さんの原画をもとにした祝幕が現れ、客席が沸く。私もスマホで撮影してみた。萬壽、新時蔵、新梅枝の祝幕は千住博さんの滝の絵で、色は赤と白だけど全体的に地味だったので、写真は撮らずじまい。

獅童の宗五郎に七之助の女房おはま、権十郎の父親、萬太郎の三吉、孝太郎のおなぎ、隼人の殿様、坂東亀蔵の御家老様に國矢の伝蔵、魁春の茶屋女房にその娘を男寅くん。酒屋の丁稚で陽喜くん夏幹くんが登場すると、客席は大盛り上がり。陽喜くんに合わせて酒樽がひと回り小さかったような…。

舞台写真は、2人の可愛い丁稚さんを1枚だけ。この2人と新梅枝のアクスタも販売されていたけれど、どのぐらい売れているのかしらん。

21時半すぎに帰宅し、すぐにファイルを確認し、和訳を2時間半ほど。もとの英文がところどころ文章が途切れていたり、内容に食い違いがあったり、定義してもその定義を使っていなかったりと、問題が山積み。