まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

マハゴニー市の興亡

目が覚めても寒くて布団から出たくない~、ともぞもぞしているうちに再び眠りに落ちてしまい、また目が覚めてはもぞもぞして寝落ち、と何度か繰り返しているうちに午後になってしまった。いくら日曜日だからって、ねぇ。

こういう寝方、起き方をしたときは、どうもシャッキリしなくて頭がボーッとしがち。どうにかモヤが晴れたところで、ウィーン国立劇場で配信されている「マハゴニー市の興亡」を観る。以前、NHKのプレミアムシアターでも2019年エクサンプロバンス音楽祭での公演が放送され、録画しながら断片的に見た程度だったこともあり、「マホガニー市」と間違って覚えていた。ブレヒトの台本を原作とし、マハゴニーは木材のマホガニーとはなんの関係もなく、3人の逃亡犯が金儲けを目論んで作り出した街の名前。

1979年の舞台で、私が名前を知っている出演者は、この街に流れ着いた売春婦ジェニーを演じるテレサ・ストラータス、逃亡犯のひとりモーゼスを演じるコーネル・マクニール、アラスカからやってきた4人組のひとりを演じるポール・プリシュカの3人だけ。英語での上演で、歌わずに台詞として発声される部分もあるため、ある程度は聴いていれば分かるのだけれど、英語でも歌唱になると難しく、異なる歌詞を一斉に歌う二重唱、三重唱またはそれ以上となるともうお手上げ。だから英語の字幕に頼らざるを得ず、観ながらニャンドゥティをチクチク、というわけにはいかず、じっくり鑑賞。

様々な欲望を飲み込み、退廃した街に神が現れてもその声は人々に届かず、ジェニーと相思相愛だったジムは金を使い果たし、酒代も払えない罪で処刑されてしまう。死者のために祈ろうが涙を流そうが、それで死者が救われるわけではない。誰も救われはしない、と厭世的な幕切れ。

テレサ・ストラータスは以前、METの「ヴェルサイユの幽霊たち」で死後の世界のマリー・アントワネットを演じていたのが印象的で、優雅なイメージだったのに、今回はカーテンコールでも売春婦らしく、ヒョイと片手を上げ、軽く会釈する程度の挨拶。幕が下りても役のままって、ありそうでなかなかないんじゃないかしらん。

観ながらつい手を出してしまった今日のおやつ。

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甘じょっぱくて美味しかった (^^)